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2023 年度 実施状況報告書

IDH変異陽性肝内胆管癌における特異的分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K16012
研究機関公益財団法人朝日生命成人病研究所

研究代表者

藤原 弘明  公益財団法人朝日生命成人病研究所, その他部局等, 教授(移行) (00814500)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード胆管癌 / 代謝 / エピゲノム
研究実績の概要

肝内胆管癌(Intrahepatic cholangiocarcinoma: ICC)の約20%に同定されるイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)の変異について、その肝内胆管からの発癌過程において果たす機能的役割に着目して解析を進めている。IDH変異との共変異が報告されている遺伝子異常をマウス肝内胆管オルガノイドへ組み合わせて導入し樹立した変異株(M株)と野生株(W株)では、前者の方がヌードマウス皮下へ移植した際に形成される腫瘍内上皮細胞の異型度が高い。かつその悪性度を高める効果は、変異IDH1阻害剤の投与により解除される。このように、前年度に樹立した in vivo modelの結果の背景にある分子生物学的メカニズムを解明するため、本年度は M株及びW株における in vitro実験を幾つか行った。M株はW株と比較して、少なくとも通常の培養条件ではそれ自体にgrowh 及び survival advantageは見られなかった。一方で、in vivo modelではM株由来の皮下腫瘍はW株のそれと比較して、上皮細胞を裏打ちする線維芽細胞の増生が目立つことに着目し、M株及びW株とマウス線維芽細胞株との共培養実験を行った。その結果、共培養下における増殖促進効果はW株と比較してM株でより高く、かつM株と培養した線維芽細胞株ではW株と培養した際と比較して活性化マーカー(α-SMA)の発現が上昇していた。これら一連の変化は変異IDH1阻害剤の投与によって解除されることから、変異IDH1の導入が、肝内胆管上皮細胞と線維芽細胞の相互作用を促進する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

M株とW株で明瞭な差異が見られる実験系の構築にやや時間を要したため。安定した結果を得るための条件検討に必要な期間が想定よりも多くかかった。

今後の研究の推進方策

今現在得られている表現型(変異IDH1の導入による肝内胆管上皮細胞と線維芽細胞との相互作用促進)に着目し、その背景にある分子メカニズムを解明する。具体的には網羅的遺伝子発現解析を行い、変動遺伝子群の中から下流の標的遺伝子候補を選定する予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究の進行が計画よりもやや遅れたため。解析等に必要な諸経費として、次年度に使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Increased expression of TNFRSF14 and LIGHT in biliary epithelial cells of patients with primary sclerosing cholangitis2024

    • 著者名/発表者名
      Kanai S, Fujiwara H, Mizuno S, Kishikawa T, Nakatsuka T, Hamada T, Tanaka M, Arita J, Nakai Y, Isayama H, Kasuga M, Tateishi R, Tateishi K, Ushiku T, Hasegawa K, Koike K, Fujishiro M.
    • 雑誌名

      Dig Liver Dis .

      巻: 56(2) ページ: 305-311

    • DOI

      10.1016/j.dld.2023.08.057. Epub 2023 Sep 17.

    • 査読あり
  • [学会発表] The Possibility of 5-aminolevulinic acid mediated photodynamic diagnosis in cholangiocarcinoma2024

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki Fujiwara, Naminatsu Takahara, Yousuke Nakai, Keisuke Tateishi, Kiyoshi Hasegawa, Tetsuo Ushiku and Mitsuhiro Fujishiro
    • 学会等名
      The 33rd Annual Meeting of the Asian Pacific Association for the Study of the Liver (APASL)
    • 国際学会
  • [学会発表] TNFRSF14 and LIGHT are upregulated in biliary epithelia of patients with primary sclerosing cholangitis2023

    • 著者名/発表者名
      Sachiko Kanai, Hiroaki Fujiwara, Suguru Mizuno, Takahiro Kishikawa, Yousuke Nakai, Keisuke Tateishi, and Mitsuhiro Fujishiro
    • 学会等名
      Digestive Disease Week 2023
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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