研究課題
概ね当初の研究予定通り、心臓における短鎖脂肪酸受容体探索(1細胞解析、受容体刺激)、そして短鎖脂肪酸の中でも酪酸において心臓でのHDAC阻害作用を呈することを明らかとし、心臓肥大に関与するメカニズムについて解析を行った。さらに今年度、腸内細菌叢解析と短鎖脂肪酸濃度解析を追加し、心不全と腸内細菌叢との関連、心腸連関についての解析を実施した。まずin vitroにおいてラット心筋細胞を用いた実験では、HDAC阻害によってInpp5fの転写が亢進することによりPI3K経路の抑制、p-aktの抑制を介した心肥大抑制機序を呈する可能性が考えられた。同様にBL/6JマウスにおいてISO心不全モデルマウスを作成し、腹腔内投与により酪酸を投与をしたところ、心肥大抑制効果が認められた。心臓組織炎症については期間中に行ったプロトコルにおいて有意な改善が認められず、条件検討後に再度検証を検討している。心不全モデルマウスに対する便中短鎖脂肪酸濃度測定において、心不全モデルで有意に酪酸の濃度が低下していることが明らかとなり、in vitroの結果とあわせると酪酸低下が心肥大亢進に関与している可能性も検討される。また、腸内細菌叢解析において、心不全モデルでdysbiosisが認められるとともに、高繊維食投与により明らかな腸内細菌叢の構成異常の改善が認められた。心不全改善の寄与への関与については今後の課題である。
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