研究課題/領域番号 |
21K16022
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山下 侑吾 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (10844920)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 静脈血栓塞栓症 |
研究実績の概要 |
本年度は研究計画の予定通り、レジストリの構築・データ収集を完了し、解析・検討が進んだ。総数5197例のVTE症例が登録され、DOAC時代におけるアジア圏最大規模の登録データベースが完成した。現在、主解析の検討が進行し、その結果がまとまった。論文投稿を開始、今後情報発信およびさらなる詳細な解析・検討が予定されている。 主解析では、全体の患者群を現在の最新の再発リスク分類に応じて5群に分類し、その概要の記述統計が実施された。DOAC時代におけつ静脈血栓塞栓症の実態・診療の実際が明らかとなるとともに、DOAC時代における問題点も明らかとなった。これらは、さらなるDOAC時代におけるアンメットニーズと考えられ、研究のさらなる発展が望まれるものであった。 結果の詳細であるが、再発リスクが以前は低いと考えられていたMinor transient risk factor群は、一番リスクの低いMajor transient risk群より、やはり再発リスクが高い傾向が認められ、これらは現在のESC2019の最新の肺塞栓症のガイドラインの推奨を支持するものであった。一方で、日本人でもUnprovokedな患者群では、長期的に再発リスクが高く、特に抗凝固療法中止後の再発率は超長期的に上昇し続け、その値は欧米からの報告に類似するものであり、日本に於いても同患者群には可及的長期の抗凝固療法の継続を支持するものであった。現在一番問題となっているActive cacner群では、やはり大出血が大きな問題であり、これはDOAC時代における最大の課題と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りのデータベースは完成し、解析も予定通り実施された。今後予定通りさらなる詳細なサブ解析を含めて進行予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後予定通りさらなる詳細なサブ解析を含めて進行予定である。なお、今後の研究の発展としてバイオマーカーおよび画像検査と静脈血栓塞栓症の関与に関してさらなる新しい研究企画が開始されていいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、予定通り研究進捗自体は順調に進行しているが、コロナ禍の影響のため、研究のデータ・情報収集のために必要な各施設への訪問および相談などの日程をコロナ感染拡大の安定した時期に適宜調整を行っている。そのため、予定の使用研究費を来年度に繰り越し、使用の目処としてる。使用計画としては、今年度に予定していた各施設への訪問、追加データ収集、および解析の相談を予定通り実施する方針である。なお、これらは時期の調整のみで対応を行ったものであり、研究全体の進捗としては予定通り問題無く遂行の目処である。
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