研究課題
NAFLD患者において冠動脈周囲炎症(FAI)の評価を行うことの有用性については不明であった。そこで我々は、当院にて心臓CTを撮像したNAFLD患者において予後調査を行い、FAI測定の有用性を検討した。結果、従来のCT所見であるハイリスクプラークにFAIを追加することで、予後予測能が改善することが明らかとなった(Heart and Vesselsにアクセプト)。本研究結果から、冠動脈疾患が疑われ心臓CTを撮像するNAFLD患者において、冠動脈周囲炎症まで評価を行うことで、将来的な冠動脈疾患発症がハイリスクであるNAFLD患者を同定できる。また、FAI活性化と冠動脈疾患増加のメカニズムについてもいまだ不明な点が多い。我々は、心臓CTと血管内皮機能検査(FMD)をともに施行している患者において、FAIとFMD値との関連を検討した。その結果、FAI活性化とFMD低値(血管内皮機能障害)は有意に関連していることが明らかとなった(Journal of Atherosclerosis and Thrombosisにアクセプト)。ゆえに、FAIが活性化している患者において、内皮機能障害が冠動脈疾患増加の一つのメカニズムであると考えられる。今後は、FAIと冠動脈疾患増加のメカニズムをバイオマーカー等との関連から研究する予定である。さらに、FAIを改善する治療法についても研究を行う。これらが明らかとなれば、NAFLD患者における冠動脈疾患イベント予防法を確立できる可能性がある。
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Heart and Vessels.
巻: - ページ: -
10.1007/s00380-022-02107-x
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis