研究課題/領域番号 |
21K16027
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
平川 今日子 熊本大学, 病院, 特任助教 (10884380)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スコアリング / データベース / 肺高血圧症 / 全身性強皮症 |
研究実績の概要 |
全身性強皮症(SSc)における肺高血圧症(SSc-PH)は、肺血管拡張薬が発展した今でも予後不良の疾患である。左室心筋障害や肺機能障害などの肺動脈性以外の病 態が複雑に混在していることから、肺血管拡張薬導入による効果が一様に得られず、中には酸素化の低下や肺うっ血の増悪をきたす場合もある事が大きな要因と 考えられる。そこで我々は、複雑に混在している病態評価を右心カテーテル検査、呼吸機能検査だけでなく、心臓造影MRIや肺血流シンチグラフィーによる血流 分布パターンなどの所見より肺動脈性以外の病態をスコアリングして評価することにより詳細な病態評価を行う。 現在、心臓造影MRIや肺動脈CTなどにより右室 心筋障害の評価を積極的に行い、心エコーでの右心負荷所見の進行との関連を評価している。さらに、組織線維化を反映し得る新たなバイオマーカーとして、 WAPファミリータンパクの一種であるhuman epididymis protein 4(HE4)が注目されていることから、肺高血圧症患者での測定を行う。HE4は左室心筋障害におけ る左室リモデリングと関連性が示されていることから、肺血管拡張薬治療導入後、右心機能の推移についても評価を行う。上記のような評価を多方面から行なっ ていくことにより、SSc-PHの病態層別化に関わる有用な多面的評価法を確立を目指し、SSc-PH患者における予後改善について関連項目がないか評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前提として希少疾患であることや、複数診療科にわたっての評価を行なっていることから、データ欠損値がおおく進捗状況はやや遅れている。各種所見をもとにしてデータベース構築を行なっている。現在PH症例200例のデータベースを作成し、そのうち約90例のHE4測定を行った。
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今後の研究の推進方策 |
疾患の希少性のために症例数が少ないため、院内にスクリーニング制度を導入し症例を確保している。各診療科にわたり画像所見などを組み合わせて評価を行うが、データ欠損がないように連携をとっていく。疾患の症例数が少ないことから、強皮症様症状のある他膠原病疾患や、自己抗体陽性例などにも範囲を広げながらデータ構築を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年は、主にデータベース構築・各種解析を行うための物品費用、学会参加費、また解析対象であるHE4測定のために当該助成金が発生した。翌年度も同様に解析を行 なっていく計画であるため、次年度使用が生じると考えられる。
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