研究課題/領域番号 |
21K16029
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
喜古 崇豊 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50814480)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | PET/MRI / 虚血性心疾患 / NaF / 不安定プラーク |
研究実績の概要 |
不安定プラークのイメージングに関する報告が数多くなされており、特に18F-NaFによる不安定プラークの検出について注目されている。PETのトレーサーである18F-NaF は血管の微小石灰化の代謝を反映するとされており、18F-NaFの不安定プラークの局在診断への有用性が報告された。また、MRIではhigh intensity plaqueが不安定プラークを表している可能性が報告されている。当院にはPETとMRIを同時に撮像できるPET/MRI装置が導入されており、この装置では、PETによる心臓の機能的評価と、MRIによる解剖学的、組織学的評価を同時に行うことができる。18F-NaF PET/MRIによるPETとMRIの融合画像は不安定プラークの病態把握に有用なだけではなく、検査時間の短縮、被爆の低減といった患者負担の低減といった観点からも有用性は高い可能性がある。18F-NaF PET/MRIを用いた不安定プラークの診断について当院で研究を行う事となった。 当院で施行したNaF PET/MRIの8例について解析を行ったところ、冠動脈造影で狭窄を認めた部位に一致して、MRIによるhigh intensity plaqueとNaFの集積が高い症例を認め、不安定プラークの局在について評価することができた。また、他の部位に関しても冠動脈狭窄を認めた部位の18F-NaF PETによるSUVmaxが高い傾向にあり、PET/MRI装置を用いた不安定プラークの診断への有用性が示唆された。また、大動脈弁の石灰化にも一部18F-NaFが集積している症例も確認され、今後の症例の蓄積により、大動脈弁狭窄症や全身の動脈硬化との関連の比較が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
事前段階としてPET/MRI装置の心機能評価の信頼性を担保するために、血管拡張薬投与時におけるMRIの心機能の変化について研究を行った。結果として、血管拡張薬による薬剤負荷時もMRIによる心機能は変化がないことが判明した。これらについて英文誌 Clinical Radiologyへ投稿し2021年に掲載され、PET/MRI装置による心機能評価の方法を確立することができたため、18F-NaF PET/MRIで得られる心機能評価にも応用していく。また、18F-NaFの症例に対して引き続き解析を行い、プラークの性状・局在、心機能との関連をPETとMRIの両方の観点から解析を行っていく。また、さらに解析を進めることで、不安定プラークにおける18FNaFの集積パターン、PETとMRIによる不安定プラークの複合的評価を行う。
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今後の研究の推進方策 |
今後はPETと同時撮影によるMRIの画像のみならず、MSCT、冠動脈造影検査、IVUS、OCTなどの複数のモダリティの検査と比較することで、不安定プラークの局在、質的診断を行う。また、症例数の蓄積が少ないため、虚血性心疾患が疑われる患者のリクルートをより積極的に行っていく。また、予後評価についても追跡を行い、18F-NaF PET/MRIの予後予測因子としての有用性についても検討していく。
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