NaF PET/MRIを合計15例施行し、まずはNaFの冠動脈の集積およびMRIによるhigh intensity plaqueが可能であることを確認した。大動脈弁狭窄症患者においては大動脈弁石灰化部分へのNaFの集積が見られた症例を数例確認することができた。不安定プラークの確認された症例において、今後の大動脈弁狭窄症の進行度合いや予後評価を引き続き行い、大動脈弁狭窄症における大動脈弁の不安定プラークの病的意義を検討していく。 また、心室ストレインは心機能低下前の心筋障害を反映する早期の指標として注目されている。大動脈弁狭窄症における不安定プラークの集積と心筋障害の関連は予後評価に有用な可能性があり、まずは手技確立のために虚血性心疾患患者61名に対して薬剤負荷を用いた13N-ammonia PET/MRIを施行した。Coronary flow reserve(CFR)と右室長軸ストレインの中央値の組み合わせで4群に分類し、心血管イベントの長期予後評価を行った。CFR、右室長軸ストレインともに低下している群では、他の群よりも優位にイベント発生率が高く、右室長軸ストレインは独立した予後規定因子であった。これは2022年に国際英文雑誌International Heart Journalに投稿し掲載された。さらに、13N-ammonia PET/MRIを用いて、心筋血流低下部位では左室ストレインの変化が乏しいことが判明し、日本循環器学会および国際学会American Heart Association Scientific Session 2022で報告を行った。NaF PET/MRIによる不安定プラークの評価に加え、心筋血流および心室ストレインの評価を組み合わせることで、重症大動脈弁狭窄症の詳細な病態評価や予後評価について今後も詳細な検討を続けていく予定である。
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