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2021 年度 実施状況報告書

高血糖に着目した急性心筋梗塞における再灌流後心筋内出血の機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K16032
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

太田 慎吾  和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30612931)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードST上昇型急性心筋梗塞 / 来院時高血糖 / 再灌流後心筋内出血 / MMP-9
研究実績の概要

早期再灌流治療は、ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)の予後を改善させたが、早期再灌流治療により発症する心筋内出血は、患者予後を悪化させる。しかし、心筋内出血に関与する因子については不明な点が多く、有効な予防法が確立されていないのが現状である。心筋内出血は冠微小循環障害の重症型と位置付けられているが、我々は以前、来院時高血糖が冠微小循環障害に関与することを報告した。その研究から得られた知見を基に、「来院時高血糖が冠微小循環障害の重症型である心筋内出血発症に関与する因子であること」、および「MMP-9が来院時高血糖と心筋内出血をつなぐ因子として重要な役割を果たしていること」の2つの仮説を立て、動物実験および前向き臨床研究を立案した。
研究に先立ち、174人のSTEMI患者を対象とした後ろ向き解析を行った。結果、心筋内出血を来す患者群(IMH群)は、心筋内出血を伴わない冠微小循環障害患者群(MVI alone群)、冠微小循環障害のない患者群(non-MVI群)よりも有意に来院時血糖値が高値であることを明らかにした。また、MVI alone群とnon-MVI群では、来院時血糖値に有意差がないことも明らかにした。多変量解析の結果、来院時高血糖のみが、心筋内出血発症に関与する因子であることを明らかにした。また、174人のうち、責任冠動脈から血液を採取しMMP-9濃度を測定することができた13人を対象としたサブ解析の結果、来院時血糖値とMMP-9濃度には有意な正の相関関係があり、また、心筋内出血群では非心筋内出血群と比較して有意にMMP-9濃度が高値であることも明らかにした。上記の後ろ向き研究については、現在、論文投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究(動物実験と前向き臨床研究)を実施するにあたり、本研究の仮説の妥当性を確認する必要がある。そのために施行した後ろ向き研究で、本研究の仮説が概ね科学的に妥当であることを支持する結果を得ることができた。この後ろ向き研究を論文化するために予想以上の時間を要し、本研究の実施がやや遅れているが、本研究の院内倫理委員会への提出準備など、概ね順調に進展しているものと考える。

今後の研究の推進方策

概ね順調に研究は進展しているが、前向き臨床研究に対する倫理委員会への必要書類提出準備を加速させるとともに、動物実験についても研究計画書に従い、同時並行で進めていく。

次年度使用額が生じた理由

当該年度は、主に本研究を行う上での科学的妥当性を確認するための後ろ向き研究を重点的に施行したため、本研究のために購入予定であった物品の個数が予定よりも少なかったため、次年度使用額が発生した。

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公開日: 2022-12-28  

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