研究課題/領域番号 |
21K16040
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
木下 利雄 東邦大学, 医学部, 助教 (00723719)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | がん治療関連心筋障害 / 心電学指標 / 脱分極異常 / 再分極異常 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アントラサイクリンによるがん治療関連心筋障害(CTRCD)における脱分極異常、再分極異常といった心電学指標を前方視的観察研究において詳細に評価することにより、以下の研究課題目標を達成する。課題1:CTRCDにおける脱分極異常、再分極異常の検出に有用な心電学指標を同定する。課題2:課題1で同定した心電学指標とその他の既存のモダリティとの比較検討により、CTRCD発症の早期検出能力を評価する。 2021年度の研究では、課題1について、現在アントラサイクリン使用患者で測定した12誘導心電図の解析から、CTRCDを発症した患者において再分極指標のActivation recovery interval(ARI)、Recovery time(RT)の有意な延長が認められ、かつこれらの変化がアントラサイクリンの使用自体ではなく、CTRCDを発症した患者においてのみ認める特徴的な変化であることが分かった。これまで多くの報告があるQTcの延長については、CTRCDを発症していない患者においても認める変化であり、アントラサイクリンを使用すること自体による変化と考えられた。この結果からCTRCDを評価においては従来のQTc延長よりもARI、RTの延長がより正確な指標となる可能性が考えられた。この結果は日本不整脈心電学会第2回心電学関連春季大会にて発表し、現在論文化中である。また課題2については現在症例およびデータの集積中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、アントラサイクリンによるがん治療関連心筋障害(CTRCD)における脱分極異常、再分極異常といった心電学指標を前方視的観察研究において詳細に評価することにより、以下の研究課題目標を達成する。課題1:CTRCDにおける脱分極異常、再分極異常の検出に有用な心電学指標を同定する。課題2:課題1で同定した心電学指標とその他の既存のモダリティとの比較検討により、CTRCD発症の早期検出能力を評価する。 課題1については有用な心電学指標の絞り込みが順調に行えている。 課題2については、ホルター心電図、CAVI、ABI、心筋逸脱酵素などのその他のモダリティを用いた症例のデータ蓄積がなされている。
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今後の研究の推進方策 |
現状の計画に従い、症例データ集積を行っていく。 また現在得られたデータ解析結果につき論文化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
がん治療関連心筋障害患者において心電学指標を記録する高分解能心電計を購入する予定であったが、昨今の諸事情により製造が遅れている。実際の測定においては現在代替機のレンタルにて使用している。高分解能心電計が販売可能となった時点で購入を予定している。
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