本研究は心臓移植後の合併症である移植後冠動脈病変に着目した研究である。移植後冠動脈の新たな治療・管理を確立することが目的である。 当院で施行した心臓移植症例に対して、移植後冠動脈病変のリスク因子である脂質異常症、糖尿病、ウイルス感染等の確認のため定期的な採血を行った。また移植後拒絶反応の確認のため、心臓移植後1年間は1患者当たり計10回の心筋生検を行った。さらに心臓移植後4週と1年時に冠動脈造影検査、或いは血管内超音波検査による冠動脈内膜の評価を継続的に行った。 移植後冠動脈病変の重症度分類のひとつに国際心肺移植学会のgradingが挙げられる。severe gradeに該当するなかには重症な冠動脈病変だけでなく、慢性拒絶による血行動態異常を示すrestrictive physiologyも含まれ、restrictive physiologyについて詳細に検討した。
以上が本年度の研究実績の概要である。
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