研究課題
肺血栓塞栓症は、その発症頻度が増加傾向にあり、今後さらに重要となる疾患の一つである。その診断は自他覚所見、D-dimer測定等によりスクリーニングをし、肺動脈造影CTを中心とした画像検査で確定診断される。しかしD-dimerの偽陽性例や造影剤使用困難例などが存在するため、より低侵襲的で精度の高いスクリーニング法の確立が期待される。本研究は、非造影下胸部X線動態画像の透視動画解析法を用いたスクリーニング法の確立と新規の診断アルゴリズムの開発を目的として、実施することとした。PEの診断における有効性が確認されれば、重症度評価やさらには他の肺循環疾患の診断・病態評価への応用も期待できる。「肺循環疾患の診断におけるRadwisp(胸部X線透視動画解析ソフト)の有用性の検討~単施設前向き観察研究」(UMIN試験ID:UMIN000042264)(目標症例50例達成:PE 23例、非PE例 27例)を実施し解析を行った。主要評価項目はPEの検出の性能(感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率)とし、副次評価項目はPEを症候別、重症度別に分類し、分類別の診断性能を検証した。主要評価項目では特異度は52%と高くなかったが、感度は91%と高かった。特に副次評価項目である症候性の急性PEで、高い感度(100%)で疾患を検出でき、症候性の急性PEに対するスクリーニングツールとしての有用性が期待できる結果となった。
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The International Journal of Cardiovascular Imaging
巻: not applicable ページ: 1-9
10.1007/s10554-024-03121-y