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2021 年度 実施状況報告書

ATP1A1変異により促進される細胞増殖および腫瘍形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K16058
研究機関広島大学

研究代表者

小武家 和博  広島大学, 医系科学研究科(医), 寄附講座助教 (80805648)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード原発性アルドステロン症 / アルドステロン産生腺腫 / 副腎皮質腫瘍 / ナトリウムイオンチャネル / 細胞増殖
研究実績の概要

本年度の研究においては、原発性アルドステロン症(PA)の症候を示すアルドステロン産生腺腫(APA)にみられるATP依存性ナトリウム/カリウム輸送体(ATP1A1)の遺伝子変異を副腎癌培養細胞株(HAC15)に導入することで、アルドステロン合成および、細胞増殖の亢進がみられることを明らかにした。実際のAPAの検体において、遺伝子変異をもつATP1A1の発現が増加していることも示された。このときアルドステロン合成酵素以外のステロイド合成酵素については発現量の変化をみとめなかった。また、細胞内カルシウムイオンレベルの上昇をみとめ、アルドステロン合成、細胞増殖にかかわる細胞内シグナルの増加が示唆された。
次にATP1A1遺伝子変異による細胞増殖の促進の分子メカニズム解明をすすめ、RNA-seqの結果等を参考に、SRCチロシンキナーゼのリン酸化に着目した。ATP1A1遺伝子変異によりSRCのリン酸化が亢進しており、SRCのリン酸化を介したシグナルが、APAの細胞増殖に関わっていることが示唆された。
強心配糖体であるウアバインは、ナトリウム/カリウム輸送体のチャネル機能を阻害することが知られている。そのため副腎皮質細胞におけるアルドステロン分泌にも影響を与えるのではないかと考えられていたが、これまでその作用について統一した見解は得られていない。今回、ATP1A1遺伝子変異を持つAPAにおいては、ATP1A1の発現が増加していることから、このAPAではウアバインが何らかの影響を及ぼすのではないかと考えた。そこでATP1A1遺伝子変異を導入したHAC15にウアバインを投与したが、アルドステロン合成に影響を及ぼさなかった。しかし一方でごく低濃度のウアバイン投与下ではHAC15の細胞増殖が、前述のSRCリン酸化を介して促進されることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

患者検体を用いた実際のアルドステロン産生腫瘍における組織学的解析や遺伝子発現についての検討はおおむね終了している。副腎癌培養細胞株を用いた実験においては、各種薬剤による標的タンパク質の機能調節を行うことによる細胞内シグナルやシグナル伝達物質への影響などの検討がおおむね順調に進んでいる。ただし遺伝子変異を導入した細胞の実験については問題ないが、標的あるいは標的周辺の関連遺伝子の発現亢進・発現抑制による実験については進んでいない。

今後の研究の推進方策

in vitroにおける研究については一定の成果が得られており、現在のプランで課題を推進していく。同時に、明らかになった内容を基盤として関連するタンパク質についても発現操作等行い機能調節への影響を確認することも検討しており、同様に他の阻害剤などの利用も検討している。
in vitroの検討がおおむね終了した段階で、マウスを用いたモデル動物の作製、モデル動物生体を用いた表現型の解析や、薬物への反応の検討などを推進していく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] ATP1A1 Mutant in Aldosterone-Producing Adenoma Leads to Cell Proliferation2021

    • 著者名/発表者名
      Kobuke Kazuhiro、Oki Kenji、Gomez-Sanchez Celso E.、Gomez-Sanchez Elise P.、Itcho Kiyotaka、Ohno Haruya、Nagano Gaku、Yoshii Yoko、Baba Ryuta、Kodama Takaya、Arihiro Koji、Hattori Noboru、Yoneda Masayasu
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 22 ページ: 10981~10981

    • DOI

      10.3390/ijms222010981

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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