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2022 年度 実績報告書

ATP1A1変異により促進される細胞増殖および腫瘍形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K16058
研究機関広島大学

研究代表者

小武家 和博  広島大学, 医系科学研究科(医), 寄附講座助教 (80805648)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード二次性高血圧 / 原発性アルドステロン症 / 副腎皮質腫瘍 / 動脈硬化症 / 細胞増殖
研究実績の概要

原発性アルドステロン症 (PA) は,最も頻度の高い二次性高血圧であり,その病型の一つであるアルルドステロン産生腺腫 (APA) では,アルドステロンを自律的に産生する腫瘍細胞の増殖によりアルドステロンを過剰合成し,心血管疾患や腎障害を高率に発症する.APAの主要な病因は,細胞膜に存在するイオンチャネルやポンプをコードするKCNJ5,ATP1A1,ATP2B3などのいずれかひとつに体細胞変異を認め,その体細胞変異がアルドステロン合成を促進すると報告されている.本課題においては,APAの原因の一つであるATP依存性Na/Kポンプ遺伝子(ATP1A1)の変異により生じる,細胞増殖および腫瘍形成のメカニズムの解明を目的に研究を行った.その結果,生理的濃度の強心配糖体がAPAに発現増加したNa/Kポンプの受容体シグナルを活性化し,APAに至る腫瘍増殖機構を明らかにした.また,APA腫瘍増殖にはビタミンD受容体シグナル活性が必須であり,ビタミンD受容体発現はDNA脱メチル化により調節されていることを示した.この研究過程において,ATP1A1変異副腎皮質腫瘍モデル細胞株の樹立や,副腎腫瘍細胞の増殖を定量的に評価するメソッドなど,今後の本領域の研究における重要なツールの開発・確立も果たされた.また,生理的濃度の強心配糖体の投与やビタミンDの投与あるいは除去はアルドステロン合成には影響を及ぼさなかった.このことから、今回明らかになった細胞増殖促進メカニズムを利用した治療法は,必要なアルドステロン分泌を抑制することなく,細胞増殖によるアルドステロン過剰分泌,ならびに腫瘍形成を抑制することが期待でき,正常の生体ホメオスタシスを障害しない新たな創薬につながる可能性がある.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Hypomethylation associated vitamin D receptor expression in ATP1A1 mutant aldosterone-producing adenoma2022

    • 著者名/発表者名
      Nanao Yuta、Oki Kenji、Kobuke Kazuhiro、Itcho Kiyotaka、Baba Ryuta、Kodama Takaya、Otagaki Yu、Okada Akira、Yoshii Yoko、Nagano Gaku、Ohno Haruya、Arihiro Koji、Gomez-Sanchez Celso E.、Hattori Noboru、Yoneda Masayasu
    • 雑誌名

      Molecular and Cellular Endocrinology

      巻: 548 ページ: 111613~111613

    • DOI

      10.1016/j.mce.2022.111613

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ATP1A1 変異アルドステロン産生腫瘍において VDR は低メチル化し細胞増殖に関与する2022

    • 著者名/発表者名
      七尾裕太、沖健司、小武家和博、一町澄宜、馬場隆太、児玉尭也、大田垣裕、岡田晃、長野学、大野晴也、米田真康
    • 学会等名
      第95回 日本内分泌学会総会

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公開日: 2023-12-25  

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