研究課題/領域番号 |
21K16059
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
数藤 久美子 徳島大学, 病院, 特任助教 (10843807)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 動脈硬化 / 核酸受容体 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、「マクロファージに存在するDNase IIが、障害を受けた血管構成細胞から放出される遊離核酸断片を分解し、核酸受容体を介した炎症応答を減弱することで、血管の炎症や動脈硬化病変の形成を抑制する」という新しい仮説に基づく研究である。動脈硬化は血管壁の炎症で生じるが、その機序については十分明らかになっておらず、炎症を分子標的とした治療方法の開発も不十分である。今回の研究課題では、核酸断片やDNase IIに注目し、マクロファージ活性化や血管の炎症機序を明らかにすることを目的としている。DNase IIの動脈硬化病変形成における役割の検討 (in vivo)として、マクロファージ特異的DNase II KO(DNase II-flox/LysM-Cre)マウスとアポリポ蛋白E欠損(ApoEKO)マウスを交配し、マクロファージ特異的DNase II欠損ApoE KO(DNase II-KO/ApoE KO)を樹立した。これらのマウスに、生後7週齢から西洋食を開始し、生後9週齢からアンギオテンシンII(Ang II, 1.0 μg/kg/min)を4週間持続皮下投与し、動脈硬化病変の形成や不安定化の程度を様々な組織学的・分子生物学的手法により比較検討することで、動脈硬化病変形成におけるDNase IIの影響を検討を行った。また、核酸受容体を標的とした動脈硬化の治療方法の可能性の検証も行った。マクロファージ活性化におけるDNase IIの役割の検討(in vitro)も行っている最中である。途中経過を含めて国際学会を含めた複数の学会で発表を行い知見を広めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「マクロファージに存在するDNase IIが、障害を受けた血管構成細胞から放出される遊離核酸断片を分解し、核酸受容体を介した炎症応答を減弱することで、血管の炎症や動脈硬化病変の形成を抑制する」という新しい仮説に基づいて実験を行っている。DNase IIの動脈硬化病変形成における役割の検討 (in vivo)など、おおむね順調に進展している。学会発表をいくつかの学会で行い、新たな視点や考え方を検討しながら実験を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでDNase IIの動脈硬化病変形成における役割の検討 (in vivo)などを行っており、今後はTLR9 KOマウスを作成し、マクロファージ特異的DNase IIが動脈硬化に与えている影響をより具体的に検討する予定である。TLR9 KOマウスでも同様の検討を行い、TLR9が関与しているか検討する。また、TLR9 KOマウスの腹腔内マクロファージを用いて同様の実験を行い、STINGとは別の経路の作用であることを検討予定である。TLR9 KOマウス作成に時間がかかったが、順調に育ってきており、実験を遂行できると判断している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年間120万円で予定しており、計画通り実験は進んでいる。統計のために必要な統計ソフトや実験の用具・薬剤などを購入した。予定していたマウス作成に時間がかかりポンプなど購入時期が遅くなり、次年度使用額が生じた。今年度内に納入はしたが、納入に時間がかかった。
|