院外心停止患者に対するハイブリッドERでのECPRの有用性を評価する後ろ向き研究を行っている。2022年度は主に患者のデータベースの作成を行い、ハイブリッドERができる以前の患者情報と、ハイブリッドERができてからの患者情報を電子カルテと一部紙カルテを遡り情報収集を行った。患者データベースを作成した後に、主要アウトカムを中心とした統計学的な比較を行った。病着からECMO導入までの時間はハイブリッドER群で有意に短縮されていたものの、主要アウトカムとして設定していた神経学的予後の改善については両群で有意差を認めなかった。また、ハイブリッドER群では出血の合併症などが低下することが想定されたが、出血合併症についても有意差は認められなかった。一方で、ハイブリッドERではX線による透視を併用した手技を行うことにより、ECMOカテーテルの位置異常や挿入できなかった症例は認められず、有意差はないもののハイブリッドERの有用性が示唆される結果となった。本研究の結果より、ハイブリッドERではECMO導入を安全かつ迅速に行うことができる可能性が示唆されたが、院外心停止患者の予後改善に対する有意な結果は得られなかった。 分割時系列デザインを使用した解析により、ハイブリッドER導入後に病着からECMO確立までの時間が経時的に短縮する結果が得られ、ハイブリッドER導入により手技の安定性が得られる可能性が示された。現在得られた結果を論文化し、投稿中である。
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