研究課題/領域番号 |
21K16081
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
齊藤 暁人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80843755)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 成人先天性心疾患 / 心不全 |
研究実績の概要 |
Fontan循環は高い静脈圧と単心室による低心拍出から、経時的に諸臓器に様々な問題を生じうる。そのため予後は良好とは言えず、利尿剤による血行動態の調整は必要不可欠である。バソプレシン受容体拮抗薬であるトルバプタンは従来の利尿剤とは異なる効果が期待されるが、Fontan循環を含め成人先天性心疾患患者に対する効果はまだ未解明である。 本研究ではトルバプタンを開始したFontan循環患者における血行動態指標やバイオマーカーの変化を観察する他、栄養、体組成、筋力や運動耐容能にも着目し投与前後でどのような変化を示すのかを調査することで、トルバプタンの多面的な効果を検証し、生命予後改善につながる新たな有効性を探索することを目的とした。 2021年度は新型コロナウイルス感染症の流行に影響を受け、新規のFontan循環患者の受診や当院での入院そのものが著しく制限されたため、研究の対象となるような症例がいなかった。しばらくは同様の状況が続くものと予想されたことから、計画の修正を行うこととした。そこでまず、Fontan循環やトルバプタンの使用に関わらず、当院で利尿剤治療などの心不全加療を行っている成人先天性心疾患患者を対象に臨床データの調査を開始した。そして、すでに得られた調査結果の中から成人先天性心疾患患者における慢性心不全の経過に関して学会発表を行った。現在も継続してそのデータを集計し、解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年からの新型コロナウイルス感染症の流行により、新規患者数の減少および入院制限があり、研究対象となりうる患者が著しく減少したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も新型コロナウイルス感染拡大の影響は続くものと予想される。そのため、得られたデータから研究目的を達成できるように、実現可能な研究計画に修正して研究を進めていく。トルバプタンの有用性については、Fontan循環に限らず成人先天性心疾患全般でまだ未解明であるため、対象を広げて検討を行っていく。また、成人先天性心疾患における自然経過の中で心不全を来たしうることは知られているが、その心不全の病態についてはわかっていないことも多い。今回着目した栄養状態や生理機能、血行動態といったパラメータとの関わりについては明確ではない。そこで今後、それらの指標や呼吸機能や冠血流といった新たな視点も加えて成人先天性心疾患における心不全との関係性について検討を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、新規患者数の減少および入院制限があり、研究対象となりうる症例が著しく減少したため。 使用計画:対象患者の見直しを含め、研究計画を修正した上で目的を達成できるよう研究を進める。各種測定器具に加え、データ解析ソフトや管理用コンピュータを購入し、研究成果を学会や論文などで積極的に報告していくことを考えている。
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