研究課題/領域番号 |
21K16083
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
草山 隆志 金沢大学, 附属病院, 助教 (50622825)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 心房細動 / カテーテルアブレーション / 皮膚交感神経活動 / 自律神経 |
研究実績の概要 |
心房細動はカテーテル治療後に20-30%程度で術後に不整脈が再発し、また重大な心血管イベントを合併することもあるが、その機序は明らかになっていない。実験動物の研究でカテーテル治療によって星状神経節が修飾されてリモデリングが起き、交感神経活動が低下することが分かっている。申請者らはヒトでの予備研究でカテーテル治療の前後で皮膚交感神経活動の変化に個人差があることがわかった。この差はカテーテル治療による星状神経節への効果に影響され、修飾が不十分な場合には交感神経活動が低下せず再発や心血管イベントのリスクになると考えられる。本研究の目的は、心房細動患者において、非侵襲的に記録された皮膚交感神経活動の特徴およびカテーテル治療による変化を解明することによって、治療効果、再発予測、有害イベント予測という実臨床で求められるバイオマーカーとしての皮膚交感神経活動の活用の可能性を明らかにすることである。 令和3年度は心コロナ禍の影響で診療制限などの影響もあったが、心房細動に対するカテーテルアブレーション目的に入院した38例を含む、総計98例において皮膚交感神経活動のデータを収集した。本研究を申請した時点では、年間100例のデータ収集を目標としており、おおむね達成したものと考える。 令和4年度も引き続き心房細動に対するカテーテル治療の目的で初めて入院する患者において、治療の前後で皮膚交感神経活動のデータを収集する。さらに令和3年度にデータ収集した症例の追跡調査を行い、不整脈の再発、主要有害心血管イベントの発生(心血管死、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症、心不全、脳卒中、その他の入院を要する心血管イベント)を評価し、皮膚交感神経活動との関係を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度当初は1週間あたり約2-3例ずつ皮膚交感神経活動のデータ収集を行っていたが、前倒し請求により解析装置が2台になったことで1週間あたり6例程度まで増やすことが可能となった。その結果、令和3年度は心房細動に対するカテーテルアブレーション目的に入院した38例を含む、総計98例において皮膚交感神経活動のデータを収集した。本研究を申請した時点では、年間100例のデータ収集を目標としており、おおむね達成したものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度も引き続き心房細動に対するカテーテル治療の目的で初めて入院する患者において、治療の前後で皮膚交感神経活動のデータを収集し、その生理学的特徴やアブレーションによる影響を明らかにする。また血液データ、心エコー検査など、入院時の患者背景データをもとにして皮膚交感神経活動との関係を解析する。 さらに、令和3年度にデータ収集した症例では、術後3か月、6か月、12か月後の時点で外来の心電図検査あるいは電話による追跡調査を行い、不整脈の再発、主要有害心血管イベントの発生(心血管死、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症、心不全、脳卒中、その他の入院を要する心血管イベント)を評価し、皮膚交感神経活動との関係を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は新たにADInstruments社のPowerLabシステムを一式購入したため、当初の予算よりも多くなってしまい、令和4年度から前倒し請求を行った。またコロナ禍で学会への参加を見合わせたこともあり、予想の使用額とは差が生じた。令和4年度分の助成金と合わせて、心電図パッチなどの消耗品の購入や解析用パソコンのモニターなど必要物品の購入などに使用する。また本研究の結果報告のため学会への参加を予定する。
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