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2021 年度 実施状況報告書

ヒトiPS細胞由来心筋細胞の新規移植方法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K16084
研究機関信州大学

研究代表者

小林 秀樹  信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (90794389)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード再生医療 / iPS細胞由来心筋細胞 / 細胞移植 / 直接注射 / カテーテル
研究実績の概要

まず,移植に用いるヒトiPS細胞由来心筋細胞を作製した。次に,心筋細胞移植2週間前にカニクイザルを開胸の上,左前下行枝を一時的に結紮することで,急性心筋梗塞モデル動物を作製した。2週間経過した時点で,直接注射法ならびに冠動脈内投与法による細胞移植を行った。
直接注射法では,再度開胸を行い,梗塞領域心筋の心筋内にヒトiPS細胞由来心筋細胞を注射した。合計2頭の動物に細胞移植を行い,移植後の心機能や不整脈を観察した。細胞移植により心エコー図検査や造影CT検査で評価した移植後の心機能は改善を認めたものの,ホルター心電図検査では,移植後2週間目をピークとする心室性不整脈の発生を認めた。病理組織学的検索では,ホストであるカニクイザルの梗塞心筋領域にグラフトの生着を認めた。
冠動脈内投与法では,投与する細胞数や細胞塊のサイズを変えて,動物の大腿動脈からカテーテルを挿入し,冠動脈左前下行枝内に細胞を注入することで移植を行った。合計4頭の動物に細胞移植を行い,1ヵ月後に再度造影検査を行った。冠動脈造影検査では冠動脈の閉塞や狭窄所見を認めなかったが,左室造影では左前下行枝領域の壁運動低下を認めた。組織検査では,より多い細胞数や,より大きいサイズの細胞塊を投与した動物において,ホストの心筋内細動脈の周囲にグラフトの生着を認めたものの,同時に心筋梗塞の形成も認めた。移植後の心機能について改善はあまり認められず,移植により大きな心筋梗塞が形成された動物では,慢性期の心収縮能低下を認めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定通りに試験を開始することができ,合計6頭の動物(直接注射法2頭、冠動脈内投与法4頭)に対して細胞移植を行うことができたため,研究は概ね順調に進展していると考えている。しかし,両方法の差異を比較するためには,さらに動物数を追加しての実験が必要である。

今後の研究の推進方策

両方法ともに,さらに動物数を追加しての実験を行い,移植後のグラフト生着や心機能改善効果,手技に伴う安全性,移植後不整脈の発生頻度などを,直接比較していくとともに,病理組織学的検索により,グラフト生着について評価を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

2021年度は,合計10頭のカニクイザルを使用する予定であったが,実際に使用した動物数は6頭にとどまった。このため,4頭分のカニクイザルの飼育・管理費や,移植実験手術の際の消耗物品費用を次年度に使用することとした。
2022年度は,もともと予定していた6頭の手術と併せて,2021年度に施行できなかった手術も行う予定である。物品費として,カニクイザルの飼育・管理費や,移植実験手術の際の消耗物品費を使用する。また,国内旅費として,(株)イナリサーチおよびシミックファーマサイエンス(株)と信州大学との施設間移動のための交通費を使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 冠動脈内投与法によるヒト多能性幹細胞由来心筋細胞移植の実現可能性について2021

    • 著者名/発表者名
      小林 秀樹
    • 学会等名
      第262回日本循環器学会関東甲信越地方会

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公開日: 2022-12-28  

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