研究課題/領域番号 |
21K16086
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
米野 雅大 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (40866307)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アミノペプチダーゼ / ノックアウトマウス / 心臓 |
研究実績の概要 |
DPPIII は、ジペプチジルペプチダーゼファミリーに属するペプチダーゼであり、DPPIIIは生体内で様々な細胞の細胞質に発現している。本研究では心臓に着目し、内在性DPPIIIが生体内での心臓の構築・機能維持においてどのような役割を担っているかを解析するためにCrisper-Cas9システムを利用してDPPIIIノックアウトマウスを作成した。このノックアウトマウスはメンデルの法則の通りの割合で出生し、野生型と同様な成長・成熟が見られた。出生した少数例で種々の解析を行なった。免疫組織学的解析では野生型では心筋にDPPIIIが豊富に検出されたが、DPPIII ノックアウトマウスではその発現が欠失していることが確認された。血行動態解析ではコントロールマウスと比較して、脈拍数や血圧などに変化は見られなかった。また加齢(80週齢)による変化も野生型と比較して有意な差は認められなかった。心臓超音波検査を用いた左室収縮機能や拡張期の心室中隔厚や左室内径、左室下壁厚においても差は見られなかった。そこで計画通り、そこで心圧負荷モデルマウス(大動脈縮窄(Transverse aortic constriction: TAC)マウス)を作成し、DPPIIIの有無による心機能や圧負荷に対する影響を検出することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
通常環境下ではDPPIII欠失による心臓の機能は確認できなかった。そこで心圧負荷モデルマウス(大動脈縮窄(Transverse aortic constriction: TAC)マウス)を作成し、DPPIIIの有無が心機能や圧負荷に対する影響を検出する計画であった。DPPIII ヘテロマウスを用いたTACマウス作製過程において、手術時に使用する3種混合麻酔(塩酸メデトミジン、ミタゾラム、酒石酸ブトルファノール)で術後覚醒しない例が多く発生したため、麻酔薬をイソフルランに変更する等の処置手順の改善変更が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
DPPIIIヘテロマウス及びノックアウトマウスの繁殖と生育個体を用いたTAC手術の実施とその後の解析を行なっていく計画である。野生型と比較して心収縮能や心筋の構造変化などに着目して解析を行なっていく予定を立てている。 もしノックアウトマウスで心肥大や心不全の頻度が高くなるようであれば、心筋に内在するDPPIIIが心筋への物理的負荷に対して保護的に作用しているか、その分子メカニズムを明らかにする。
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