Crisper-Cas9システムを利用してDPPIIIノックアウトマウスを作成した。作成したノックアウトマウスはDPPIII exon4のうち5塩基欠失した個体と8塩基欠失した個体が作出された。それぞれをDPPIIIΔ5ノックアウトマウスおよびDPPIIIΔ8ノックアウトマウスとして使用した。心圧負荷モデルマウス(大動脈縮窄(Transverse aortic constriction: TAC)マウス)を作成し、DPPIIIの有無による心機能や圧負荷に対する影響を検討した。DPPIIIヘテロマウスを用いてTACを行ない、12週まで1週ごとに心臓超音波検査により心臓の状態を追跡した。DPPIIIΔ5ホモノックアウトマウスおよびDPPIIIΔ8ホモノックアウトマウスを用いて同様の検討を行った。TAC後6週以後においてDPPIIIΔ5ヘテロノックアウトマウス、DPPIIIΔ8ヘテロノックアウトマウスともに野生型よりEFやFSが有意に低下していた。さらに各壁厚についてはDPPIIIΔ5ヘテロノックアウトマウス、DPPIIIΔ8ヘテロノックアウトマウスともにLVPWが6週以後、IVS、LVIDが8週以後に野生型と比較して有意な肥厚が確認された。12週終了後安楽死を行い心臓と肺を摘出しそれぞれの湿重量を測定すると、DPPIIIΔ5ヘテロノックアウトマウス、DPPIIIΔ8ヘテロノックアウトマウスともに野生型と比較して心臓重量が増加しており、肺重量においては顕著な増加が確認された。摘出した心臓を用いて組織染色を行った。HE染色で心筋形状について確認したところ、DPPIIIヘテロノックアウトマウスでは心筋繊維の肥厚が確認された。またピクロシリウスレッド染色により心臓繊維化の評価を行ったところ、顕著な繊維化が確認された。
|