研究実績の概要 |
本研究では、大動脈弁狭窄症(Aortic Stenosis: AS)の進行に対する予防・治療アプローチを開発することを目標とし、ASの進行メカニズムを動脈硬化と比較しながら検討する。具体的には、ASが進行して経カテーテル的大動脈弁植え込み術(Transcatheter aortic valve implantation: TAVI)が施行された症例を対象とし、1) TAVI術前のCTから、大動脈弁と大動脈・冠動脈石灰化を定量化する。すなわち、大動脈弁石灰化容積(mm3)、横隔膜から3椎体分の下行大動脈壁の石灰化容積(Agatston score)、冠動脈の石灰化スコア(Agatston score)を体表面積で補正して算出する。2) TAVI施行前の血清から、これまでに知られている骨形成・炎症・動脈硬化・加齢因子を測定(リン、カルシウム、intact PTH, BMP, Osteopontin, Osteocalcin, sRANKL, Sortilin, S100A8/A9, 高感度CRP, TNFα, IL-6, IL-1β, Lp(a), テロメラーゼ活性など)し、さらに血清中のエクソソームを単離して、その中にあるmicro RNAやnon-coding RNAをそれぞれmiRNA, ncRNAアレイを用いてスクリーニングする。その上で、まずは1)と2)の相関を検討し、大動脈弁の石灰化と特異的に相関を認めるタンパク、あるいはエクソソームmicro RNA, noncoding RNAを同定、さらにその中で、予後すなわちTAVI後の死亡や心不全の発症と関連のある因子を同定する。
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