研究課題/領域番号 |
21K16117
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長崎 忠雄 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (40747862)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 喘息 / 酸化ストレス / 2型炎症 |
研究実績の概要 |
まず、ex vivoの結果を記す。BAL検体において、酸化型GSH(GSSG)が喘息患者で健常者よりも増加していた。また、細胞内GSHが喘息患者で健常者より減少していた。さらに、BAL検体および細胞内において、GSHとGSSGの比は2型炎症のマーカーである呼気NOと相関していた。 次にin vitroで、ヒト気道上皮細胞に対して2型サイトカインであるIL-13刺激で、細胞外のGSSGが増加し、細胞内GSHが減少することを示した。さらに、IL-13刺激で15LO1、GPX4(GSHペルオキシダーゼ)、シスチン/グルタミン酸のトランスポーターであるSLC7A11のタンパク発現が増加することを示した。 さらに、15LO1を阻害することで、細胞内のGSH/GSSGが増加することを示した。 GSHは3つのペプチドから合成される。GSH産生にあたって、まずはGSHの負のフィードバックで調整されるが、GSHが低下した際にはシステイン依存性となる。そこでSLC7A11をノックダウンすることでGSHを低下させ、GSH-GSSGバランスを酸化状態にし、2型炎症マーカーであるペリオスチン、エオタキシン3、一酸化窒素合成酵素、ムチン5ACタンパク量が増加することを示した。 また、臨床データとの関連として、BALのGSH/GSSGとFEV1が相関し、増悪例はBAL GSH/GSSGが非増悪例に比し低い(酸化状態)であることを示し、細胞内GSH/GSGがFEV1と相関することを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
15LO1は細胞内の酸化還元バランスを制御することを示し、さらにGSHが2型炎症、細胞死、喘息コントロールを調整することを示すことで、喘息病態における2型炎症とGSHの密接な関連を示すことができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
GSHを付加することでGSH-GSSGバランスを還元状態にし、2型炎症マーカーがどう変化するかを明らかにし、治療に結び付くかどうかを考える。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦で診療業務の増加、物品の滞納などによる研究活動に制限がでた。また、学会参加などが困難であった。
|