研究実績の概要 |
RBM7は線維化とともに著しく増加するが、その発現を制御するメカニズムは不明であった。RBM7の発現上昇はRNAレベルよりもタンパクレベルで顕著であること、プロテアソーム阻害薬であるMG132投与によりRBM7の発現が上昇することにより、タンパク分解のレベルでの制御が重要であると考えた。共免疫沈降-質量分析により、RBM7がE3ユビキチンリガーゼであるHUWE1, LTN1, SHPRH, RNF140と相互作用することを見出した。現在、これらのE3ユビキチンリガーゼに関してsiRNAを用いて発現を抑制しRBM7発現との関連性を検討しており、今後ノックアウトマウスを作成することで治療標的としての妥当性の検討をおこなう予定としている。 複雑で多様な肺線維症の病態の理解のために、バルク解析による平均値を捉えるこれまでの手法では見逃されてきた特定の細胞集団の同定をシングルセル解析により解決することをめざした。申請者らはすでに線維症特異的血球サブセットを見出しているとともに、線維化肺において非免疫細胞との相互作用による細胞内代謝変化により, 特定の単球由来マクロファージ細胞群に線維化促進性の形質が誘導されることを見出している。間質性肺疾患患者さんの気管支肺胞洗浄液のシングルセル解析により、複数の異なった免疫細胞サブセットが線維化の進行と関連していることを見出した。
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