Axlを標的抗原としたCAR-T細胞を作成するために、共刺激ドメインとしてCD28zもしくは4-1BBzを持つCD19を標的としたCARベクターを入手し、Axl認識scFvとのligation反応でAxl-CD28z-CARベクター及びAxl-4-1BBz-CARベクターを作製した。これらベクターをT細胞株であるJurkut細胞に遺伝子導入し、CARの発現をフローサイトメーターで確認した。CARの導入効率は80%-98%と良好であった。作成したAxl-CAR Jurkat細胞を、Axl蛋白コーティングプレートで培養したところ、T細胞の早期活性化マーカーであるCD69の発現がAxl濃度依存的に上昇することをフローサイトメーターで確認した。このことから、Axl-CAR Jurkat細胞がAxlを認識して活性化されることを示すことができた。 Axl-CAR Jurkat細胞の、Axl発現肺癌細胞に対する殺細胞能を検証するために、K562細胞にAxlを強制発現させてAxl-CAR Jurkat細胞と共培養する実験系を計画した。ところが、アデノウイルスベクターを用いた方法ではAxl強制発現ベクターの遺伝子導入ができなかった。原因として、Axl強制発現ベクターのサイズが大きすぎた可能性が考えられた。そこで、PiggyBacトランスポゾンシステムを用いてAxl強制発現ベクターをK562細胞に遺伝子導入することを計画し、新たなベクターを作製した。 肺癌細胞株であるA549を使用し、CAR-T細胞の標的抗原であるAxlの発現を確認した。 また、A549及び患者の肺癌組織におけるTSLPの発現を調べたが、発現を確認することができなかった。そこで、TSLP以外のサイトカインシグナルに着目し、それらシグナルが欠損したAxl-CAR-T細胞の作成を検討している。
|