鉄欠乏状態は喫煙による肺組織の炎症を増強し、慢性閉塞性肺疾患の主病態である呼吸機能や肺気腫を増悪させるという背景を基に、鉄代謝に関わるヘム蛋白合成経路に着目した。ヘム蛋白合成経路のアミノレブリン酸合成酵素(Aminolevulinic acid synthase; ALAS)遺伝子改変マウスを用いて喫煙曝露を行ったところ、肺気腫の程度は対照群と差異がなかった。肺胞上皮細胞株をALAS-1阻害薬により処理した後にJC-1染色を行ったところ、ミトコンドリア膜電位が上昇し、ミトコンドリア内のヘム合成阻害が起こっていることが示されたが、タバコ抽出液によるアポトーシスの程度には差異が認められなかった。
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