COPD(Chronic obstructive pulmonary disease)は喫煙などによって生じる呼吸器疾患であり、全世界で年間300万人が死亡しており、病態解明が求められる。 COPD患者での呼吸機能の低下に着目したところ、Thymus- and activation-regulated chemokine(TARC)/Chemokine(C-Cmotif) ligand 17(CCL17)の関連が明らかになった。TARC/CCL17はTh2細胞の遊走を促すケモカインとして知られ、アレルギー性疾患との関連が多く報告されているが、COPDとTARC/CCL17との関連を詳細に検討したものは殆どみられない。これまでの我々の研究では、TARC/CCL17がマクロファージの集簇や肺気腫形成と関連することを認めており、COPDの病態への関与の可能性がより高まった。本研究では、COPDの主たる原因である喫煙曝露を行うことで、TARC/CCL17がCOPDの病態に与える影響を明らかにすることを目的としている。 TARC/CCL17の受容体であるCCR4をノックアウトした遺伝子改変マウス(CCR4-/-)を作製し、喫煙曝露刺激を行った。遺伝子改変マウス(CCR4-/-)では、喫煙曝露後のマクロファージ増加が抑制されており、また長期(24週)曝露での肺気腫形成も抑制されていた。TARC/CCL17を経気道投与するとマクロファージの増加がみられるが、遺伝子改変マウス(CCR4-/-)では抑制されていた。喫煙曝露後では全肺中のTARC/CCL17のRNA発現が増加しており、TARC/CCL17-CCR4の経路が、喫煙誘導の病態に関与することが示唆された。
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