研究課題/領域番号 |
21K16136
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
齋藤 美奈子 東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (70883601)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ANGPTL4 / 肺線維症 |
研究実績の概要 |
本研究はIPFの病態におけるANGPTL4の役割を解明し、ANGPTL4の肺線維症の治療ターゲットとしての可能性を検証することを目的としている。 IPF患者肺の免疫組織化学染色では、幼弱な線維芽細胞巣の化生上皮や線維芽細胞でANGPTL4の発現亢進を確認した。また、IPF急性増悪患者の血清ANGPTL4濃度は、IPF慢性期やコントロール群と比較してELISAで有意な上昇を認め、血清ANGPTL4濃度は肺線維症の病勢を反映している可能性が示唆された。 ANGPTL4の発現調節機序の解明については、A549細胞において、TGFβ刺激後にANGPTL4の有意な発現上昇を認め、さらにsiRNAを用いたSMAD4のノックダウンで有意にANGPTL4の発現低下を認めた。さらにSMAD4のノックダウンで抑制されたEMTは、ANGPTL4のリコンビナント蛋白の添加により回復を認め、ANGPTL4により促進されるEMTはTGFβ-SMAD4経路により調整される可能性が示唆された。さらに、線維芽細胞であるHFL-1にANGPTL4のリコンビナント蛋白を添加すると、遊走能および収縮能の有意な亢進を認めた。ANGPTL4は分泌蛋白であることから、肺線維症の病態の起点となる上皮傷害により肺上皮細胞で発現が上昇したANGPTL4がパラクライン作用により線維芽細胞の機能に影響を与える可能性が示唆された。 ANGPTL4ノックアウトマウス(ANGPTL4-KO)を用いたブレオマイシン刺激肺線維症モデルでの検証は現在進行中であるが、ANGPTL-KOでコントロールマウスと比較してBALF中のマクロファージ有意の細胞数減少を認め、病理組織学的解析では、ANGPTL4-KOで肺線維症改善の傾向を認めており、さらに解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年はコロナ禍による実験施設の閉鎖により予定していた実験が滞っていたが、本年はヒトIPF患者肺検体を用いたANGPTL4の発現部位の検討やヒトIPF患者血清を用いた血清ANGPTL4濃度の解析を行うことができた。また、In vitro実験においてはANGPTL4のEMT促進経路の検証や線維芽細胞におけるANGPTL4の役割の解析を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ANGPTL4欠損マウスを用いてブレオマイシン刺激肺線維症マウスモデルにおけるANGPTL4の肺線維症への影響を引き続き解析し、さらにANGPTL4中和抗体の購入を進めて肺線維症モデルマウスにおけるモノクローナル抗体を用いた治療の可能性についても検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で研究の中断が余儀なくされていた昨年度分の繰り越しがあったため次年度使用額が生じた。ノックアウトマウス実験や中和抗体を用いたマウス実験に充てていく。
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