研究課題/領域番号 |
21K16153
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
木下 義晃 福岡大学, 医学部, 講師 (30882625)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 特発性上葉優位型肺線維症 / 血清バイオマーカー / LTBP-4 |
研究実績の概要 |
血清latent transforming growth factor-β binding protein 4 (LTBP-4) が上葉優位型肺線維症(PPFE)の新規バイオマーカーとして有用性であるかを検討する上で、LTBP-4値と予後あるいは努力性肺活量との関連を解析することは不可欠である。 PPFEの予後予測モデルはこれまで検討されたことがなかった。PPFE患者104症例を解析し、診断時の努力性肺活量値、下葉の間質性肺疾患の有無、血清KL-6値、気胸の病歴の有無からなるスコアリングシステムを構築し、予後予測に有用であることを論文発表した。(Yoshiaki Kinoshita, et al. A proposed prognostic prediction score for pleuroparenchymal fibroelastosis. Respiratory Research 2021;22:215.) また、努力性肺活量はPPFE患者の疾患進行の客観的指標の一つであるが、進行したPPFE患者の努力性肺活量の計測は容易ではない。PPFE患者29例を解析し、PPFEの線維化病変の進行と胸郭の扁平化の進行には相関があることを見出した。胸郭比はCT画像で簡便に評価できる客観的指標として有用であり、論文(Takato Ikeda, Yoshiaki Kinoshita, et al. Platythorax progresses with lung involvement in pleuroparenchymal fibroelastosis. Respir Invest. 2022:60;293-299.)及び国内学会で報告した。 今後、前向き国内コホートで集積されたPPFE患者の血清を用いて血清LTBP-4値を計測し、これらの指標との関連を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在PPFE患者の血清サンプルを全国規模で集積中である。現時点で100例程度の集積が終了しており、200症例を目標として血清サンプルの集積が継続されている。本年度中に血清の集積が終了する予定であり、その後血清LTBP-4値の定量に着手する予定としている。 臨床面では、これまでに研究がされていなかったPPFEの予後予測モデルを構築した(Kinoshita Y, et al. Respiratory Research 2021:30;22:215.)。また、PPFEで認められる扁平胸郭比の経時的変化はPPFEの進行の客観的指標となることを見出した(Takato Ikeda, Yoshiaki Kinoshita, et al. Respir Invest. 2022:60;293-299.)。血清LTBP-4の臨床的な価値を高めるための解析の準備が整いつつあり、上記は順調に研究が進展していることを意味する。
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今後の研究の推進方策 |
現在PPFE患者の血清サンプルを全国規模で集積しており、本年度中に集積を終了する予定である。得られた血清サンプルを用いて、可能であれば本年度中にLTBP-4濃度の定量に着手する予定である。その後、LTBP-4の診断における有用性の検討、可能であれば予後データや予後予測モデル、胸郭比との関連も検証する予定である。 また得られた研究成果を国内外の学会で報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、予定していた国内学会での発表に伴う出張費が予想を下回ったためわずかながら未使用額が生じた。このため、予定していた国内学会での発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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