研究課題
in vitro実験として腎臓由来の細胞株であるimmortalized human podocyte (ihPOD)細胞およびCaki-2細胞に対して細菌叢由来ペプチドであるcorisin処理を行った。ihPOD細胞およびCaki-2細胞でcorisinによるアポトーシスが誘導され、ihPOD細胞ではTGF-βとcorisinの共刺激でアポトーシスの誘導が増強されることを確認した。これらの結果からcorisinが腎臓由来の細胞のアポトーシスの誘導に関与していることが確認された。in vivo実験として、腎特異的TGF-β過剰発現マウスへのcorisinの投与がマウス腎臓に与える影響を確認した。corisinを投与した慢性腎不全マウスではcorisin非投与マウス(対象群)と比較して尿中アルブミン排泄量が有意に上昇し、病理検査でも対称群と比較して糸球体及び尿細管間質線維化の進行が示唆された。以上の結果よりマウスモデルにおいてはcorisinが腎線維化の促進因子となることが確認された。ヒトにおけるcorisinと腎障害の関連の有無を確認するために、糖尿病腎症患者の血中corisin、尿中corisinおよびcorisin関連物質の測定準備を進めているが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う患者の受診行動の変化により、計画当初に想定していたサンプル数に達するまでに時間を要している。TGF-βの関与した急性肺障害および肺線維化の病態にcorisinが関与していることと、corisin抗体の投与によりこれらの病態が改善することも確認され、corisinの制御は腎臓を含む臓器の線維化の進行を抑制することが期待される。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件)
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