研究課題/領域番号 |
21K16177
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
久間 昭寛 産業医科大学, 大学病院, 講師 (30893284)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 体液貯留 / 慢性腎不全 / トランスポーター / 水 |
研究実績の概要 |
尿素トランスポーターは尿中尿素を再吸収することで、尿浸透圧を調整して尿量が変化させる。本研究では尿素トランスポーターを阻害することで得られる利尿効果が、慢性腎臓病や体液貯留状態においても認められるかを検証することが目的である。 慢性腎臓病モデルとして、5/6腎臓摘出(5/6Nx)モデルマウスを作製して8週間観察した。5/6Nxマウスにコントロール群(生食投与)とDimethylthiourea (DMTU,尿素トランスポーター阻害薬)投与群を比較した場合、コントロール群と比べてDMTU群では24時間尿量が1.5倍へと増加した。24時間飲水量と24時間尿量の差で算出したwater in-outバランス(mL/g)は、コントロール群が0.185±0.013、DMTU群が0.114±0.014でありコントロール群の方が有意に高値であった(p<0.05)。体液貯留による心機能の変化を観察するため、心臓超音波エコーを行った。心筋重量係数(LVMI, mg/g)は、コントロール群で4.18±0.27、DMTU群は3.44±0.13でDMTU群で心筋肥大が抑制されていた。また、心筋肥大に伴う心筋線維化の評価のためreal-time PCRとウエスタンブロットを用いてα-SMAとcollagen4を測定した。結果、コントロール群に比べて、DMTU群ではそれらの発現が有意に低下していた。 以上より、DMTUによって尿量を増加させることで体液貯留を軽減して左心肥大を抑制していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度に5/6腎臓摘出モデル作製後の体液貯留を誘発させるのに最適な条件設定に難渋した。その影響で当初の計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、従来より汎用されている利尿薬のフロセミドとの効果相違について比較検討する。また、体液貯留の影響による心機能評価についても詳細な検討を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度で浸透圧測定器を購入予定であったが、他実験を中心に進めており測定する機会がなかったため、当該測定器は来年度に購入予定である。
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