腎におけるmiR-23bの役割を検討してきた。これまで全身性およびポドサイト特異的miR-23bノックアウトマウスは腎における表現型を認めないことを示してきた。腎疾患におけるmiR-23bの意義を検討するために、ストレプトゾトシン糖尿病モデルと糸球体基底膜腎炎モデルの糸球体内のmiR-23bの発現レベルを検討した。miR-23b発現はストレプトゾトシン糖尿病マウスの糸球体で低下するが、抗糸球体基底膜(GBM)腎炎モデルの糸球体では増加していた。そのため、抗GBM腎炎モデルにおける糸球体miR-23b発現上昇に着目した。 Mir-23btm1Mtm/Mm jaxマウスとRosaCreERT2マウスを交配することにより薬剤誘導性全身性miR-23bノックアウトマウスを作製し、6週令マウスにタモキシフェン投与を行いmiR-23bを減少させたのち、8週令のマウスに抗GBM腎炎を惹起した。コントロールマウスおよび薬剤誘導性全身性miR-23bノックアウトマウスにおいて、尿蛋白クレアチニン比はGBM抗体投与2週後に両群とも約30 mg/mgCrまで増加したが、両群で差を認めなかった。ほか、体重、血圧、腎重量、腎組織形態、尿アルブミンクレアチニン比について、いずれも変化を認めなかった。 これらの結果から、抗GBM腎炎においてmiR-23bの欠損は腎に変化を及ぼさず、miR-23bの役割は軽微であることが示唆された。
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