研究課題/領域番号 |
21K16198
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
林 憲史 金沢医科大学, 医学部, 講師 (30639208)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ポドサイト細胞骨格 / 蛋白尿 |
研究実績の概要 |
ヒトおよびマウスの腎臓を使用した免疫染色でFAM114A1はポドサイト特異的に発現しており、特にポドサイトの一次突起と細胞体に局在することが示された。また、ヒト膜性腎症とラットハイマン腎炎(PHN)でFAM114A1の発現がタンパク質レベルが増加しているかを免疫染色および画像解析ソフトによる染色エリアで比較したところ、ヒト膜性腎症およびラットPHNモデルでは、FAM114A1の発現が増加していることがわかった。 さらにヒト不死化ポドサイト培養細胞を用いた免疫染色で細胞内での局在を解析したところ、F-アクチンやパキシリンやタリンなどの接着分子と共局在を示し、FAM114A1はポドサイトで細胞骨格関連蛋白質として機能している可能性が示唆された。このためポドサイト細胞にsiRNAを導入してFAM114A1をノックダウンし機能解析を行ったところ、ポドサイトの細胞骨格の発達、ポドサイトの遊走、細胞の接着が阻害された。最後に、相互作用タンパク質を検出するために、FAM114A1-3XFLAGタンパク質とヒト糸球体抽出物を用いてアフィニティープルダウンアッセイを実施したところ、関連候補蛋白質としてCytoskeleton associated protein4(CKAP4)やTalin1などの細胞骨格関連蛋白質と相互作用している可能性が示唆された。結論として、FAM114A1はポドサイトの細胞骨格に関連するタンパクであることが明らかになった。 FAM114A1-global ノックアウトマウス(FAM114A1-KO)を作成、繁殖に着手しているが、FAM114A1-KOは致死的ではなく40週齢を超えて生存可能であり、さらに繁殖可能であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初はFAM114A1-globalノックアウトマウスを安定して供給することに時間がかかったが、現在は、ノックアウトマウスの解析に着手することができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
ノックアウトマウスによる、腎病変や蛋白尿、腎機能などの表現型を解析する。 また、Nephro toxic serum(NTS)腎炎モデルやα3NC1-膜性腎症モデルをノックアウトマウスとワイルドタイプで作成することでそれぞれの表現型を比較解析する。 さらに、マウスを用いてシングルセル解析などの網羅的解析に着手して、糸球体におけるFAM114A1機能解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
ノックアウトマウスの安定繁殖に当初の予定よりも時間がかかったため、解析に着手できずその費用が未使用となった。現在はノックアウトマウスの繁殖が安定したため、解析に着手したところであり、次年度は解析費用として使用する。
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