今後の研究の推進方策 |
1. 血中および黒色腫周囲の組織中のDMKN発現量と、臨床所見・経過のパラメーター (局所浸潤、病型、遠隔転移の有無、治療反応性など)との相関関係の評価 当施設で加療した黒色腫患者の血清中DMKN濃度をELISA法で定量化する。また、皮膚生検検体や病変部の切除標本を使用し、黒色腫細胞と周囲組織の免疫組織染色でDMKN発現の局在の変化を確認する。①腫瘍巣と周囲組織のDMKNの発現量の差、②付随する遺伝子発現の変化を、マイクロアレイやリアルタイムRT-PCRで網羅的かつ定量的に解析し、これらの結果と、臨床所見、局所浸潤や遠隔転移の有無、治療反応性との相関を評価する。 2. DMKN欠損マウスへの皮下および尾静脈よりB16F10黒色腫細胞株を接種し、野生型と比較してDMKNの有無がin vivoにおける黒色腫の担癌状態や転移能に与える影響について評価する。原発巣や転移巣の腫瘍径、腫瘍の増大速度や浸潤性、転移能力を比較し、生存率や周囲組織における浸潤細胞の性状などを比較する。CD8陽性T細胞やNK細胞、腫瘍関連抗原の認識を含めた一連の抗腫瘍免疫作用を担う細胞の浸潤を免疫染色法やFACSで検討する。さらに、上皮間葉転換と関連した転写因子の発現に関して、リアルタイムRT-PCR法・ウエスタンブロット法を用いて評価する。 3.野生型DMKN欠損マウスを使用した黒色腫細胞の皮下投与モデルに、DMKNのリコンビナント蛋白を局所・全身投与し、腫瘍組織や生存率にもたらす影響について評価する。また、DMKN過剰発現マウスに経皮・経静脈的に腫瘍細胞を投与し、腫瘍径、腫瘍の増大速度、局所浸潤性、生存率や腫瘍細胞や周囲組織における浸潤細胞の性状などを比較する。加えて、上皮間葉転換に関するsnail, zeb, twistなどの転写因子の発現に関して評価する。
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