• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

乾癬における新規細胞性免疫活性化メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K16216
研究機関昭和大学

研究代表者

前田 耕平  昭和大学, 薬学部, 助教 (00882549)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード乾癬 / 細胞性免疫 / Th17 / Tc17
研究実績の概要

本研究では乾癬病変におけるTh17細胞とCD8+T細胞の相互作用を明らかにするべく、活性化Th17細胞に発現するCD83の機能解析を行った。
Th17前駆細胞(CCR6+CD4+T細胞)とeffector memory CD8+T細胞の共培養に、CD83を阻害する目的で可溶型CD83(sCD83)を添加したところ、通常の共培養を行った場合と比較してCD8+T細胞の増殖活性が有意に抑制された。sCD83の添加は、CD8+T細胞における細胞内サイトカイン発現プロファイルに影響を与えなかった。さらに、Transwellを用いて両細胞の接触を阻害しながら共培養を行ったところ、同様の反応が認められた。共培養に可溶型IL-17RAを添加し、IL-17Aを中和するとTc17細胞の誘導が抑制された。これらの結果から、Th17細胞はCD8+T細胞に対してCD83を介した直接的な接触、およびIL-17Aの分泌によってTc17細胞の誘導に関与している可能性が示唆された。
また、sCD83は免疫抑制作用を示すことが報告されているが、ヘルパーT細胞におけるsCD83の発現プロファイルが不明であったため、effector memory CD4+T細胞から各種ヘルパーT細胞サブセットを誘導し、sCD83の分泌能を比較した。Positive controlとして単球由来成熟樹状細胞を使用した。その結果、ヘルパーT細胞におけるsCD83の分泌能は成熟樹状細胞と比較して顕著に低かった。さらに、抗CD3/CD28抗体のみで刺激した場合と比較して、Treg誘導刺激を加えた場合はsCD83の分泌能が有意に高く、他のTh1、Th2、Th17誘導刺激ではほぼ同等であった。これらの結果から、Th17細胞由来のsCD83は免疫抑制作用を示すのに十分な量が分泌されておらず、免疫反応に及ぼす影響はわずかであると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CD83の機能解析はおおむね計画通りに進行している。

今後の研究の推進方策

Th17細胞と樹状細胞でsCD83の分泌能が全く異なっていたため、両細胞におけるsCD83を産生するメカニズムが異なる可能性が考えられた。両細胞におけるCD83 splicing variantの発現を解析し、sCD83がsplicing variantとして生合成されるのか、もしくは膜結合型CD83が何らかの酵素によって切り出されて生成されるのか検討を行う予定である。
また、病的なTh17サブセットで特異的に発現の上昇が認められた遺伝子の中で、CD8+T細胞の活性化に寄与する遺伝子・分子がCD83以外に存在するか検討する。MHC classIを介したペプチド抗原の提示に関連する遺伝子や、”adoptive immune responce”、”inflammatory responce”などのGO termが割り振られている遺伝子がその候補として挙げられる。各遺伝子について、CD8+T細胞の活性化や細胞性免疫反応との関連性、細胞内シグナル伝達、各遺伝子の調節機構などについて文献検索を行い、研究対象を絞る。研究対象遺伝子の決定後、健常人のnaive CD4+細胞からMCAM+CD161-Th17細胞を誘導し、real-time PCRを行って対象遺伝子の定量を行う。また、対象遺伝子にコードされたタンパク質が、細胞表面もしくは細胞内に発現が認められるか否か、ウェスタンブロットやFACSなどの手法を用いて検討する。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由: 消耗品の購入が年度末の支出に間に合わずその分の残金が生じた。
使用計画: 2021年度の残金は、購入予定であった蛍光標識抗体の購入費用に充てる。
今年度は7月から翌年2月まで科研費を用いた研究を行った。来年度は4月から翌年2月まで研究を行うことが可能であるため、今年度と同様のペースで消耗品を購入すると不足してしまう可能性がある。本研究はヒトPBMCを用いた研究であり、ヒトCD4+T細胞を単離するためのmicrobeadsや、FACSを用いた細胞のソーティング、細胞内サイトカインおよび表面抗原の発現の解析のために蛍光標識抗体、シース液などの高額な消耗品を購入する必要があるため、請求した助成金の金額は適切であると考える。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] The Ang III/AT2R Pathway Enhances Glucose Uptake by Improving GLUT1 Expression in 3T3-L1 Adipocytes2021

    • 著者名/発表者名
      Tanioka Toshihiro、Maeda Kohei、Takahashi Rei、Iwamoto Sanju
    • 雑誌名

      Biological and Pharmaceutical Bulletin

      巻: 44 ページ: 1014~1018

    • DOI

      10.1248/bpb.b20-00946

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A profile of pro-inflammatory cytokine expression in human Delta-1-induced monocyte-derived Langerhans cell-like dendritic cells after stimulation with Toll-like receptor ligands2021

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Rei、Iwamoto Sanju、Tanioka Toshihiro、Maeda Kohei
    • 雑誌名

      The Showa University Journal of Medical Sciences

      巻: 33 ページ: 67~73

    • DOI

      10.15369/sujms.33.67

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 単球由来Delta-1誘導ランゲルハンス細胞様樹状細胞は乾癬病態に関連するサイトカインを産生する2021

    • 著者名/発表者名
      髙橋 玲、巖本 三壽、谷岡 利裕、前田 耕平
    • 学会等名
      第36回日本乾癬学会学術大会
  • [学会発表] The Different Expression of Soluble and Membranous CD83 in CD4+ T Cell Subsets2021

    • 著者名/発表者名
      MAEDA Kohei, TANIOKA Toshihiro, TAKAHASHI Rei, IWAMOTO Sanju,
    • 学会等名
      第50回日本免疫学会学術集会
  • [学会発表] A profile of pro-inflammatory cytokine expression in human Delta-1-induced monocyte-derived Langerhans cell-like dendritic cells after stimulation with Toll-like receptor ligands2021

    • 著者名/発表者名
      TAKAHASHI Rei, IWAMOTO Sanju, TANIOKA Toshihiro, MAEDA Kohei
    • 学会等名
      第50回日本免疫学会学術集会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi