研究課題/領域番号 |
21K16217
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
木村 佳貴 帝京大学, 医学部, 助教 (90807843)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 乾癬 / 尿酸 |
研究実績の概要 |
尿酸と乾癬の関与について、低尿酸モデルマウス(ウリカーゼトランスジェニックマウス)を用いて、検討した。イミキモド誘導性乾癬様皮疹の重症度の低下を、PASIスコアを用いた臨床的評価にて、低尿酸モデルマウスでは炎症の抑制がみられた。また病理学的にも、表皮の肥厚の有意な抑制をみとめた。 そのメカニズムについて検討を行い、低尿酸モデルマウスでのRT-PCRでのIL-17A/Fの発現低下を認めた。そこで表皮・真皮でのTh17細胞の浸潤を評価を行った。表皮・真皮のリンパ球を分離し、フローサイトメトリーにてCD3+細胞(T細胞)のうち、IL-17A産生T細胞の割合を検討したところ、低尿酸モデルマウスを用いて評価を行い、IL-17A産生T細胞の有意な減少をみとめた。免疫染色でも評価を行う予定だが、現在条件設定を行っているところである。 またこのIL-17A陽性細胞がTh17への分化が抑制されているのか、皮膚への遊走が抑制されているかを検討した。脾臓よりナイーブCD4陽性T細胞を分離し、尿酸存在の有無によって、抗CD3抗体、抗CD28抗体、IL-6, TGF-βによる刺激によって、in vitroでTh17へと分化させ、その分化の程度をフローサイトメトリーで評価した。この結果では尿酸はTH17への分化を促進させないことが判った。in vivoでもリンパ節・脾臓でのIL-17A産生細胞数は低尿酸モデルマウスとコントロールマウスで差は見られなかった。 今後尿酸がIL-17A産生T細胞の遊走へ与える影響について検討を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウリカーゼトランスジェニックマウスを用いた、イミキモド誘導性乾癬モデルでの、評価をすすめることができ、低尿酸モデルで病変の重症度が軽減されることを示すことができた。 またそのメカニズムとして、IL-17A/Fの産生が抑制され、IL-17A陽性T細胞の表皮・真皮への浸潤が抑制されることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
尿酸がIL-17A陽性T細胞の遊走能へ与える影響を検討する。具体的には、皮膚でのケモカイン発現の網羅的検討、またトランスウェルアッセイにより、IL-17A陽性T細胞の遊走能について、尿酸の有無によって変化がみられるか評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定したよりも物品購入費用がやや少なかったため、137,492円の次年度使用額が生じた。翌年度の助成金と合わせ、抗体や培地などの消耗品購入に使用する。
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