研究実績の概要 |
尿酸と乾癬の関与について、低尿酸モデルマウス(ウリカーゼトランスジェニックマウス)を用いて、検討した。イミキモド誘導性乾癬様皮疹の重症度の低下を、PASIスコアを用いた臨床的評価にて、低尿酸モデルマウスでは炎症の抑制がみられた。また病理学的にも、表皮の肥厚の有意な抑制をみとめた。 そのメカニズムについて検討を行い、低尿酸モデルマウスでのRT-PCRでのIL-17A/Fの発現低下を認めた。そこで表皮・真皮でのTh17細胞の浸潤を評価を行った。表皮・真皮のリンパ球を分離し、フローサイトメトリーにてCD3+細胞(T細胞)のうち、IL-17A産生T細胞の割合を検討したところ、低尿酸モデルマウスを用いて評価を行い、IL-17A産生T細胞の有意な減少をみとめた。またこのIL-17A陽性細胞がTh17への分化が抑制されているのか、皮膚への遊走が抑制されているかを検討した。脾臓よりナイーブCD4陽性T細胞を分離し、尿酸存在の有無によって、抗CD3抗体、抗CD28抗体、IL-6, TGF-βによる刺激によって、in vitroでTh17へと分化させ、その分化の程度をフローサイトメトリーで評価した。この結果では尿酸はTH17への分化を促進させないことが判った。in vivoでもリンパ節・脾臓でのIL-17A産生細胞数は低尿酸モデルマウスとコントロールマウスで差は見られなかった。 皮膚病変におけるケモカインの発現量を検討したところ、低尿酸モデルにおいて、ケモカインの発現の低下がみられた。in vitroにおいてケラチノサイトが尿酸存在下において、ケモカイン発現が亢進することがわかった。
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