研究課題/領域番号 |
21K16226
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
村田 光麻 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40838801)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 表皮ケラチノサイト / カルシウムイオン / 細胞死 / CRISPRスクリーニング |
研究実績の概要 |
陸上脊椎動物は皮膚によって外界から保護されており、そのバリア機能のために最も重要な構造は角層と呼ばれる死細胞のシートである。角層は、皮膚上皮細胞が角化と呼ばれるプログラム細胞死を起こして形成されるが、その誘導メカニズムはほとんど分かっておらず、角化の異常をきたす疾患の特異的な治療法はない。本研究では、皮膚上皮細胞が角化の直前に細胞質カルシウムイオン濃度を上昇させるという現象を手がかりとする。定常状態で角化直前に上昇する細胞質カルシウムイオンの由来を同定し、角化におけるカルシウムイオンの役割を明らかにするとともに、その移動を担う分子を突き止めることを目標とする。本研究では、阻害薬スクリーニングとCRISPRスクリーニングを用いて、上記の課題に取り組む。阻害薬スクリーニングでは、培養角化細胞に発現する分子のスクリーニングの結果に基づいて、発現の高い分子に関する阻害薬を順に用いていく。CRISPRスクリーニングでは、カルシウムイオン濃度を可視化するGCaMP3を指標として、順遺伝学的スクリーニングを実施する。
2023年度は以下の内容を行った。CRISPRスクリーニングで用いるためのCas9の安定発現株を樹立した。gRNAを発現するためのレンチウイルスベクターの作成プロトコルが正常に動くことを確認し、gRNAの導入によるKOが実際に行えることが確認できた。薬剤スクリーニングによって得られた候補分子についてのKOを行い、GCaMP3の蛍光の変化を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
薬剤スクリーニングは順調に完了したが、CRISPRスクリーニングについては実験系の確立に時間を要している。研究代表者の異動により、研究環境が大きく変化したことが影響している。
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今後の研究の推進方策 |
CRISPRスクリーニングに必要な遺伝子導入、実験環境を確立し、スクリーニングを実行する方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の異動による研究環境の整備に時間がかかったと同時に、新型コロナウイルス感染症による実験の遅滞もあり、次年度使用額が生じた。CRISPRスクリーニングの遂行のため次年度には全額使用する予定である。
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