研究課題
複数の乳房外パジェット病(EMPD)の原発巣の検体を対象にCUBIC 法による組織透明化を実施し、 その過程で組織に含有するメラニン顆粒を脱メラニン化し、解析する蛋白質を標的とした抗体と反応させ、光発色処理を経た後に光シート顕微鏡で標的とする細胞や蛋白質の分布を解析した。具体的には1)Paget細胞と表皮基底膜の二重染色によって表皮内におけるPaget細胞の増殖様式や真皮内への浸潤様式の解析。2)Paget細胞と諸々のT細胞の二重染色によってPaget細胞に対する抗腫瘍免疫の動態を解析。 3) Paget細胞と血管内皮細胞の二重染色によってPaget細胞の脈管浸潤様式を解析等を試みた。透明化法によって腫瘍の3次元構造の理解に努めたが、解像度の問題点、透明化に長時間を要するなどの問題点があり、今後問題点を解決し結果公表を目指す。本研究に関連して、EMPDの浸潤とアンドロゲン受容体(AR)の発現との関連に注目し、実際に108例の病理検体にて染色を行い、AR染色と疾患進行との関係性を検討し、統計学的に優位な関係性があることをを示した(Pathol Res Pract. 2023 Sep:249:154775.)。また、EMPDの浸潤とペプチドAおよびペプチドBの関係性についての97例の病理検体を用いて解析を行い、ペプチドAおよびBが表皮内ではそれぞれ陽性率100% で発現しているものの、浸潤病変では陽性率が優位に低下することを明かにした(論文投稿中)。これらの研究に関する免疫染色等においても、一部本研究費が寄与した。また、EMPDの家族例におけるMET遺伝子の関与に関する報告(Clin Exp Dermatol. 2024 Mar 19:llae081. doi: 10.1093/ced/llae081.)の免疫染色等においても一部本研究費が寄与した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Pathol Res Pract .
巻: 249 ページ: -
10.1016/j.prp.2023.154775.
Clin Exp Dermatol .
巻: - ページ: -
10.1093/ced/llae081.