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2022 年度 実施状況報告書

サイトカインと末梢神経線維の相互関係に着目した水疱症のそう痒発生機序の解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K16237
研究機関東邦大学

研究代表者

吉田 憲司  東邦大学, 医学部, 助教 (80845355)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード水疱性類天疱瘡 / IL-31 / TSLP
研究実績の概要

・水疱性類天疱瘡(BP)患者の表皮ではTSLPの発現が亢進していることがこれまでに報告されており、自験例のBP患者においても同様にTSLPの発現が確認できている。表皮でTSLPの発現が亢進しているアトピー性皮膚炎では、表皮のPAR2やTRPV3の発現亢進によりTSLP産生を増強させていると報告があるため、BPでもPAR2やTRPV3の発現亢進がみられるのか3例で検討した。PAR2発現はコントロールと比較してBP患者皮膚では2例で低下、1例で亢進していた。TRPV3はコントロールと比較してBP患者皮膚では3例とも差はみられなかった。検体の固定方法を無固定からパラホルムアルデヒド固定に変更して、再度、免疫染色で検討する。
・BPの痒みにはIL-31が関与し、主に好酸球が産生しているとこれまでに報告されている。そこで、BP患者病変におけるIL-31産生細胞を同定・確認するために、パラホルムアルデヒド固定したBP患者の凍結切片を用いて好酸球とIL-31の二重染色を施行した。多数浸潤している好酸球の一部でIL-31の発現が特に強いことが判明した。
・BP(炎症型)3名の非水疱部および、健常者皮膚をパラホルムアルデヒド固定した凍結切片を用いて、末梢神経の分布とIL-31受容体の発現を比較検討した。健常者および水疱性類天疱瘡患者において、表皮内および真皮浅層の末梢神経線維の一部がIL-31受容体抗体で染色されることが判明し、水疱性類天疱瘡患者においてIL-31受容体の発現が強い傾向が見られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

BPの皮膚・水疱内溶液・血清検体は順調に集まっているが、BP皮膚検体採取部位と年齢をマッチさせた健常者皮膚が集められていない。また、BP以外の水疱症患者の皮膚検体の採取ができていない。今後、これらの検体を集める必要がある。

今後の研究の推進方策

・集まったBP患者の免疫染色データを画像ソフトを用いて末梢神経におけるIL-31受容体発現率を部位・年齢をマッチさせた健常者と比較解析する。
・アトピー性皮膚炎ではTSLPは掻痒誘発のサイトカインの1つと考えられている。BP患者表皮ではTSLP発現が亢進しているため、病変部における末梢神経終末におけるTSLP受容体の発現が亢進し、掻痒を伝えやすい状態にあるのかを免疫染色で確認する。
・BP患者皮膚におけるTSLP発現亢進のメカニズムをPAR2、TRPV3、BNP、BNP受容体の発現などから考察する。
・BP(炎症型)とBP(非炎症型)における病変部TSLP、IL-31、好酸球の発現の比較と末梢神経線維におけるIL-31受容体、TSLP受容体の発現の比較を行い、掻痒の原因を探索する。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、ほぼ計画通りに使用し、未使用額は少額であった。次年度は、当初の計画通り新たな抗体やELISAの購入費に充てる。

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公開日: 2023-12-25  

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