研究課題
本研究は難治性である7番染色体のモノソミーを伴う白血病において、MYCを標的とした治療法の開発を目的とするものである。我々のグループでは合成致死性の概念に基づいた治療標的スクリーニングにおいて複数の標的遺伝子を同定し、それらがいずれもMYCのダウンレギュレーションを介して作用を発揮している可能性が示唆されていた。私たちはMYCのダウンレギュレーションを来すような複数の阻害剤を用いて、モノソミー7白血病細胞における有効性を検討した。具体的には細胞株や患者検体を用いて、MYC阻害療法が実際に細胞増殖を阻害しうるのか検討した。その結果、MYC阻害療法は実際に細胞株および患者検体において細胞増殖を抑制することを見出した。加えて、免疫不全マウスモデルにおける腫瘍細胞移植モデルにおいてもMYCの阻害が腫瘍の進展ならびにマウスの生存に寄与しうることを見出した。作用機序として、MYCは生存に必要な遺伝子であるもののモノソミー7白血病ではその発現レベルが低く抑えられていることが原因の一つである可能性が示唆された。すなわち、腫瘍にとってもMYCは生存に必要であり、その発現レベルをさらに抑制することで腫瘍細胞特異的に細胞死を誘導すると考えられた。本研究の治療戦略は、MYCの発現低下を伴う他のがん種においても応用される可能性がある。
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