研究課題
悪性リンパ腫の予後は分子標的薬の登場により改善したが、進行期悪性リンパ腫の予後はまだ十分ではない。特に一部の8番染色体長腕24バンド(8q24)染色体転座を有する悪性リンパ腫の予後は不良である。染色体転座点近傍には腫瘍発症に重要な遺伝子が存在する。8q24転座点近傍にはガン遺伝子MYCとその下流にPlasmacytoma variant translocation 1 (PVT1)が存在する。PVT1はlong intergenic non-coding RNA(lncRNA)である。本研究の目的は、①PVT1内のmicroRNA (miR)と②転座により形成されるスーパーエンハンサーによるPVT1への影響に着目して悪性リンパ腫発症におけるPVT1の役割を明らかにすることである。令和3年度はPVT1 5’発現抑制効果の検討を行った。PVT1 5’発現を抑制するlocked nucleic acidであるGapmeRを複数設計して8q24転座を有するB細胞株にトランスフェクションした。浮遊細胞株へのトランスフェクションであるため、リポフェクションとエレクトロポレーションの両方で条件を検討して行った。PVT1 5’を標的としたGapmeRにより短時間のPVT1 5’発現抑制を得られたが、細胞増殖変化は明らかにならなかった。コロニーフォーメーションアッセイでも細胞増殖変化を検討中である。また、PVT1 5’領域をCRISPRで欠失させるベクターを設計した。レンチウイルスを用いたトランスフェクションを行い、ベクターの妥当性を検討中である。
2: おおむね順調に進展している
令和3年度はGapmeRを用いたPVT1 5’発現抑制を試みた。PVT1 5’発現抑制効果を十分には得られず、発現抑制の条件検討を継続している。また、PVT1 5’領域をCRISPRで欠失させるベクターを設計しスーパーエンハンサーがPVT1へ及ぼす作用の検討準備を行っている。
GapmeRを用いたPVT1 5’発現抑制に関して、PVT1 5’のターゲット部位とトランスフェクションの条件を検討しながらPVT1 5’発現抑制による細胞増殖変化を引き続き検討する。GapmeRでは十分にPVT1 5’発現抑制を行えない場合には、PVT1 5’を標的としたshRNAでの発現抑制も検討する。また、PVT1 5’領域をCRISPRで欠失させた際の細胞増殖変化を検討し、PVT1の腫瘍増殖における役割とPVT1がMYC発現に与える影響を検討する。
次年度への繰り越しは少額のみであり、令和4年度に使用する試薬の購入に使用する。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)
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