研究課題
慢性活動性EBウイルス病(CAEBV)は稀な難治性疾患であり、EBウイルスに感染したT細胞またはNK細胞の腫瘍性増殖と炎症症状を特徴とする。CAEBVの炎症症状の病態を解明し、病勢を的確に反映するバイオマーカーを明らかにすることや病態の改善に有効な治療を開発することはCAEBVの予後を改善する可能性のある重要な課題である。そのため、炎症病態に関与すると考えられるサイトカインを解析することが有用であると考え、CAEBV患者の血液を用いて網羅的なサイトカインの解析を行い病態に関与するサイトカインを検討した。また、解析したサイトカインの中から病態との関連が強いと考えられ治療標的としての可能性を見出すことのできるサイトカインとして抽出されたIFN-γについて、予後との関連や治療標的としての有用性について検討し論文報告した。その他に、CAEBVの炎症病態にはJAK/STAT経路を介したシグナル伝達が関与していることが報告されており、JAK/STAT経路を阻害することで炎症病態を制御できる可能性があると考えられる。JAK/STAT経路を阻害するJAK2阻害薬であるルキソリチニブを用いた医師主導治験に参加し、その有用性について検討した。ルキソリチニブはCAEBVの炎症病態の制御に有用と考えられる結果が導き出されたため、成果をまとめ昨年12月に行われた米国血液学会で報告した。今後研究結果をより詳細に解析し論文発表を計画している。
2: おおむね順調に進展している
CAEBV患者の血漿中のIFN-γ濃度と予後との関連や治療標的としての有用性について検討した論文報告を終了し、他のサイトカインに関する解析や治療応用に関する研究の準備中であり、おおむね順調に進展している。
CAEBVのバイオマーカーや治療標的となるサイトカインを同定し、論文で報告するとともにガイドラインの変更などにも貢献できるよう研究を推進する。
サイトカインの測定や測定結果の解析が予定通りにすすまなかったため、次年度使用が生じた。次年度も引き続き測定や解析を続けるため消耗品等の費用に充てる。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
Frontiers in Virology
巻: 2 ページ: -
10.3389/fviro.2022.999929