研究課題/領域番号 |
21K16254
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
上村 悠 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (10866875)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 慢性活動性EBウイルス病 / サイトカイン / バイオマーカー / 治療標的 |
研究実績の概要 |
全身性慢性活動性EBウイルス病(sCAEBV)は強い炎症症状を主症状とする稀な難治性疾患であり、進行した場合には血球貪食性リンパ組織球症(HLH)やリンパ腫を発症し致死的な経過を辿る。診断や治療効果判定に有用なバイオマーカーは十分に確立しておらず、病勢を適切に反映するバイオマーカーの開発が必要である。また、唯一の根治治療は造血幹細胞移植であるが、造血幹細胞移植時に肝障害やHLHなどの炎症症状をきたしている場合の予後は不良である。そのため、造血幹細胞移植前に炎症症状を適切に管理することのできる治療方法を確立する必要がある。 以上より、sCAEBVに対する適切なバイオマーカーや治療法の開発を目的とし、炎症症状に関わるサイトカインに着目しsCAEBV患者のサイトカインプロファイルを解析した。解析の結果、健常者と比較して有意に上昇しているサイトカインや治療前後で変動のあるサイトカインを抽出した。 上記の研究結果について2024年3月に韓国で行われたThe Joint 24th International Conference on Emerging Infectious Diseases in the Pacific Rim of the U.S.-Japan Cooperative Medical Sciences Program in collaboration with the 2nd International Symposium for Infectious Diseases Research Institutes Cooperation にて発表した。 国際研究会でsCAEBVに関する研究成果を発表することで疾患認知度を高め、診断率の上昇をもたらす他に研究活動の拡大が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に全身性慢性活動性EBウイルス病(sCAEBV)患者の血漿を用いたサイトカインアレイの結果から新たなバイオマーカーや治療標的の候補としてIFN-γを抽出し論文として報告した。 さらにIFN-γよりもsCAEBVの診断に際して感度や特異度が高く、鋭敏に治療効果を反映するバイオマーカーを開発すべくサイトカインアレイの結果を再解析中である。また、治療標的となるサイトカインの検討も今後行う計画である。
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今後の研究の推進方策 |
全身性慢性活動性EBウイルス病(sCAEBV)患者のサイトカインプロファイルを再解析した結果から、CXCL10を新たに有望なバイオマーカーと考えている。CXCL10の産生細胞やCXCL10の受容体であるCXCR4を発現している細胞を特定し病態への関与を明らかにする他、治療標的としての可能性について検討し日本血液学会での発表及び論文作成を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していたサイトカインの測定や解析が予定通りに進まず、次年度使用が生じた。次年度も引き続き測定や解析をするために消耗品等の費用に充てる。
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