研究課題/領域番号 |
21K16256
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
金杉 丈 愛知医科大学, 医学部, 助教 (00805450)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多発性骨髄腫 / FAM46C遺伝子 / CRISPR/Cas9システム / ゲノム編集 / シグナル伝達経路 / 造腫瘍性 / 薬剤感受性 |
研究実績の概要 |
多発性骨髄腫(以下骨髄腫)は形質細胞がんで、単クローン性免疫グロブリン(M 蛋白)の増加や、骨病変、腎障害、免疫不全を特徴とする極めて難治性の血液疾患である。骨髄染色体解析から、二倍体や転座、欠失・増幅の染色体異常は把握できるものの、骨髄腫の増悪に係わるゲノム異常や分子機構はよくわかっていない。近年、新規薬剤が一定の治療成績の向上を達成しているが、依然として治癒に至る例は少ない。初回の治療が奏功したように見えても短期間で再発する症例が多く、既存の薬剤では根治が極めて難しい。その最大の原因は、骨髄腫の悪性化と薬剤耐性であり、難治性骨髄腫を克服できる治療が切望されている。近年、染色体1番のp12領域のゲノム異常が難治性骨髄腫に見られることが報告され、FAM46C遺伝子の骨髄腫進展における重要性が示唆された。FAM46Cの欠失は、骨髄腫患者の予後に関わる重要なゲノム異常の1つとされているが、その作用機序は未だに明らかではない。そこで、研究代表者は骨髄腫患者において高頻度に欠失が見られるFAM46C遺伝子に着目した。本研究では、FAM46Cが骨髄腫細胞の生存や薬剤感受性、造腫瘍性にどのように関わるのかを解明することを目的とする。そのために、CRISPR/Cas9システムを利用してヒト骨髄腫細胞のFAM46Cをゲノム編集し、その表現型を体系的に解析する。さらに、FAM46Cと関連するシグナル伝達経路の解明を試みる。本研究は、骨髄腫細胞の悪性化と進展に関わる病態の解明に活路を開き、抗骨髄腫薬開発のブレイクスルーになると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
マウス皮下移植を行い、FAM46C発現の違いによる増殖変化を認めていた。業務時間内に臨床業務と実験を両立できるように時間配分を行っていたが、急速に臨床業務が多忙となり十分な研究時間を充当できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
週単位・月単位で業務量が増えていくため日々の臨床業務に追われがちであるが、研究の時間を確保できるように時間管理を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症流行により、学会はweb参加が主であり、出張がなくなったことに加えて、研究の遅れにより物品購入の機会がなかったことによる。次年度は物品購入などに充当を計画している。
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