研究課題/領域番号 |
21K16266
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
大竹 志門 山梨大学, 大学院総合研究部, 医学研究員 (50813060)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | CLEC-2 / 肝類洞閉塞症候群 / 血小板 |
研究実績の概要 |
我々は血小板活性化受容体CLEC-2を同定した。本研究のテーマである肝類洞閉塞症候群(SOS)は、化学・放射線療法の合併症で、肝類洞内皮細胞(LSEC)障害に引き続く、循環障害性肝障害を特徴とする。CLEC-2は血小板のみならずLSECにも発現することから、これらの細胞に共通して発現するCLEC-2が、SOSの病態に何らかの形で関与しているという仮説をたてた。 まず、C57BL/6マウスにおけるSOSモデルとしてモノクロタリン投与モデルを選択した。MCTは400mg/kgの腹腔内投与とし、事前にCLEC-2抗体により血小板上のCLEC-2を除去したところ、コントロール抗体投与群と比べ有意に生存期間が延長した。 この結果をもとに、MCT投与量を減量し、MCT投与後48時間後にSacrificeを行い生化学・凝血学的データを比較しようと試みた。しかしながら、減量しても致死的となったり、当初致死的となった投与量投与しても肝障害が生じなかったり、実験の再現性が乏しい状況となった。このことから、ケージごとに1匹飼いとする、静脈内投与、経口投与、投与前に禁食期間を設ける、などあらゆる状況で検討を行ったが、安定したモデル作製は不可能であった。さらに、6-チオグアニンによるSOSモデルも試したものの、こちらも同様にモデルは不安定であった。 このことから、これまで我々がCLEC-2抗体により血小板からCLEC-2が安定して除去されるか検討していなかったICRマウスにストレインを変更することとし、まずICRマウスにおけるCLEC-2除去について検討を行った。その結果、同マウスにおいてもCLEC-2除去は4週まで可能であることが判明したことから、今後ICRマウスを用いた検討を引き続き行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
概要欄に記したとおり、当初使用していたマウスのストレインでは、再現性が極めて乏しい結果となってしまった。しかしながら、行った検討すべてで、CLEC-2を除去したマウスにおける肝類洞閉塞症候群の重症度は改善していたことから、安定したモデルさえ作製できれば当初予定していた検討をすすめることが可能と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
CLEC-2抗体がICRマウスにおいても効果を示すことが確認できたことから、同マウスを用いて肝類洞閉塞症候群モデルを作製する。飼育環境によっても変化がみられると考えられることから、投与量や投与経路などについてさまざまな条件検討を行う。当初C57BL/6マウスにおいて予定していた生化学検査や凝血学的検査の評価については、ストレインを変更して同様に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新たな支出が必要となる研究まで進捗しなかったため、次年度使用額が生じた。安定したモデルが作製でき次第、本年度に支出予定であった予算を用いて検討を進めていく方針となっている。
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