研究課題
B細胞性リンパ腫(B cell lymphoma; BCL)、多発性骨髄腫(Multiple myeloma; MM)の疾患克服には、症例間の分子生物学的異常の多様性・不均一性、染色体・遺伝子不安定性に基づくクローン性進化に伴う治療抵抗性獲得、腫瘍免疫監視機構の破綻、の3因子の克服戦略の開発が求められる。研究代表者らはBCL、MMにおけるPDPK1-RSK2シグナルの恒常的活性化の病型横断的・普遍的な病態形成への関与、染色体・遺伝子不安定性獲得によるクローン性進化、骨髄由来抑制系細胞誘導機序等を明らかにしてきた。しかし、一部の症例に認める高度治療抵抗性獲得病態を司る付加的分子異常の解明と克服には、上記①-③を基盤とした更なる研究が必要である。本研究ではヒト正常B細胞由来不死化細胞株にPDPK1-RSK2シグナル恒常的活性化を誘導した「BCL疾患横断的・普遍的モデル細胞」を作成し、これに対してヒト全ゲノムCRISPR/Cas9遺伝子ノックアウト・ヒト全ゲノムCRISPR/dCas9遺伝子発現活性化による網羅的スクリーニングを行い、高度造腫瘍性、細胞死刺激抵抗性獲得、染色体・遺伝子不安定性、抗腫瘍細胞免疫回避機構を誘導する分子異常の同定を目指す。2022年度は引き続きヒト正常B細胞由来の不死化細胞株に恒常的PDPK1-RSK2情報的活性化を誘導した「BCLの病型横断的・普遍的モデル細胞」の樹立するために、複数の不死化ヒト正常B細胞株に野生型PDPK1遺伝子、もしくはN末端キナーゼ恒常的活性化RSK2遺伝子を、まずは電気穿孔法を用いて遺伝子導入し、複数の細胞を得ることができた。次にまずCRISPR/Cas9スクリーニングを行うためのCas9恒常的発現細胞株の樹立とスクリーニングは現在も進行中である。
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