研究課題
高齢者に好発する巨細胞性動脈炎 (Giant cell arteritis; GCA) は、自己免疫学的機序を背景とする大型血管炎である。本研究ではGCAを対象疾患として、全血サンプルのRNA-sequencingを行い病勢および病態と関連のある遺伝子群を抽出することを主な目的としている。本研究計画について、所属施設の倫理審査委員会に申請を行い、審査・承認を受け、研究を開始した。対象例のリクルート、説明・同意文書の取得、臨床データおよび実際の血液サンプルの収集を予定通り遂行中である。初発時/再燃時と病勢安定時、および対照群のトランスクリプトームデータを比較解析することで、病勢を関連のある遺伝子群を抽出することを検討している。GCAにおいては診断および再燃判断時に有用な血清学的マーカーに乏しいことが現状である。CRPは有用な病勢マーカーの一つではあるが、特異性に乏しく、治療で用いられるトシリズマブ使用下では変動がマスクされるという問題がある。一般的に確定診断として浅側頭動脈の生検、補助診断として側頭動脈超音波検査やpositron emission tomography (PET) が施行されるが、実施可能な施設が限定されていることが現状である。上記の解析によって、より簡易に測定可能なバイオマーカー候補を抽出し、早期診断、再燃予測へ貢献する可能性が期待される。
2: おおむね順調に進展している
約20例の病勢安定期GCA症例の、リクルート、同意取得、検体回収等は比較的順調に進んでいる。一方で初発例、再燃例はリクルートにやや時間を要している。
症例のリクルート、検体回収を継続しつつ、各比較群のサンプル数が確保され次第、RNA-sequencingへ進め、解析を行う。シーケンスはテクニカルバッチの影響を最小限とするため、検体がそろった時点で一括して進める方針である。
テクニカルバッチの影響を最小限とするため、症例のリクルート、検体回収を継続しつつ、各比較群のサンプル数が確保され、検体がそろった時点で検体を一括してシーケンスへ進める方針としているため。
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Rheumatology
巻: 61 ページ: 4163~4174
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Cell
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