研究実績の概要 |
メタゲノムショットガンシークエンスなどを用いた解析にて、関節リウマチ患者の腸内では、Prevotella copri菌を含む、Prevotella属細菌が有意に増加しており、Tricosphaeriaceae, などの真菌が増加していた。 しかし、P. copri菌は、繊維類を主食とする諸国で有意な腸内細菌として知られている。われわれは、関節リウマチを引き起こすP. copri菌と健常者の腸内に生息するP. copri菌が異なると考え、関節リウマチ患者と健常者からP. copri菌を単離し(以下RA-P. copri, HC-P. copri)、マウスに投与し、関節炎の感受性を比較する実験を行った。 DBA/1マウスに広域抗生剤を投与した後に、培養したRA-P. copriとHC-P. copriを経口投与した。その後、糞便を回収し、それぞれのP. copriがマウスに定着しているのを確認した。次に、ウシⅡ型コラーゲンをアジュバントと混合してエマルジョンを作成し、0週にDBA/1マウスに皮内投与して免疫した。3週間後に2次免疫を行った後、マウスの関節炎のスコアを経時的に評価した。その結果、2回目の投与後において、RA-P. copriを投与したマウスはHC-P. copriを投与したマウスと比較して、重篤な関節炎を認めた。このことより、RA-P. copriは関節炎惹起能が高いことが確認された。今後は、他の関節炎モデルを用いて同様の実験を行い、RA- P. copriの関節炎に対する病原性の普遍性を明らかにする。また、腸内細菌叢と真菌叢の関連を明らかにする。
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