研究課題
近年、本疾患には適応外であるが合併する難治性の副鼻腔炎や喘息に対して抗IL-4/IL-13受容体抗体製剤を使用し、本疾患にも有効であったとする報告が増えてきている。我々は以前、IL-4がIgG4クラススイッチに関与することを報告しておりこのサイトカインがIgG4関連疾患の病態に深く関与していることが示唆される。T濾胞ヘルパー細胞(Tfh)は、Tfh1、Tfh2、およびTfh17の3つのサブセットに分類され、Tfh2はIgG4関連疾患の末梢血中に疾患活動性と相関して増加しておりIL-4を産生することから本疾患の病原性T細胞である可能性を我々は報告してきた。しかし、Tfh2はCXCR3陰性およびCCR6陰性と定義され、さまざまな細胞集団を含む可能性があり、そのIL-4を産生するTfh2に特異的な増殖活性化機構や分化を規定する転写因子に関しては不明であった。最終年度は、IL-4を特異的に産生するTfh2マーカー蛋白Xをまず同定することが出来た。さらに、蛋白X発現Tfh2は転写因子Yおよび活性化シグナル分子Zの発現が高く分化及び増殖活性化にこれらの分子が寄与している可能性が考えられた。血中の蛋白X発現Tfh2の割合は、健常人に比べてIgG4関連疾患で増加しており、病変部位には血中と比較してより多くの蛋白X発現Tfh2が浸潤していた。また、蛋白X発現Tfh2は病変部三次リンパ組織内外に強く浸潤していた。蛋白X発現Tfh2の増加は、グルココルチコイド治療では是正できていなかった。以上より、蛋白XはIL-4を産生するTfh2を同定する有望なマーカーとなりえるとともに、蛋白X発現Tfh2がIgG4関連疾患の病態に深く関与していることが明らかとなった。グルココルチコイド治療では根本的な蛋白X発現Tfh2の是正はできていないため、新たな治療標的分子の探索が今後課題である。
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Clinical and Experimental Rheumatology
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