研究課題/領域番号 |
21K16295
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
塚本 昌子 日本大学, 医学部, 専修指導医 (80570910)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 免疫チェックポイント / 自己免疫性疾患 / T細胞 |
研究実績の概要 |
関節リウマチ(RA)をはじめとする自己免疫性疾患において分子標的薬の登場によって炎症や疾患の制御は可能になったが、未だ寛解に至らず骨破壊の進行するような症例を多々経験する。免疫チェックポイント分子はがん免疫療法での応用が進み標準治療の一つとして確立したが、一方でその分子機構は複雑なため未だ明らかにされておらず、治療に伴う自己免疫疾患発症が問題となっている。本研究では、現在抗体療法の治験も進行中である免疫チェックポイント分子TIGIT (T-cell immunoreceptor with Ig and ITIM domains)とそのリガンドCD155および、リガンドを共有しカウンターパートとして知られる活性化補助刺激受容体DNAM-1 (DNAX Accessory Molecule-1、CD226)に注目し、TIGIT-DMAN-1-CD155 axisのT細胞活性化制御システムによる標的細胞への分子メカニズムを解明し、自己免疫性疾患の病態解明と新規治療の確立を目的とした。自己免疫性疾患におけるCD155、DNAM-1、TIGITの関係を確認するためにCD155、DNAM-1、TIGIT発現する細胞を作製した。CD155存在下でTIGIT発現した細胞を使って人工平面脂質二重膜を用いた分子イメージングを行うための準備をしている。また自己免疫性疾患においては自己抗体の存在が重要であると考え、新たにTIGITを発現するT細胞、CD155を発現する単球、マクロファージなどの標的細胞の樹立に加え、B細胞の作製も行っている。B細胞存在した状態で、今度の研究における最適な条件について準備を行い、現在検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
自己免疫性疾患においては自己抗体産生による関与も重要であり、自己抗体産生に関与するB細胞の関連性も考える必要が生じた。当初作製し、使用予定の細胞すべてを変更し、現在新たにT細胞と標的細胞、そしてB細胞の作製を試みている。
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今後の研究の推進方策 |
自己免疫性疾患においては自己抗体産生が病態への関与に重要である。B細胞が分化し、自己抗体が産生され、自己抗体に感化されたT細胞の存在と感化されていないT細胞では反応が違う可能性があると考えた。そのため、まずT細胞と共培養するB細胞の作製を行い、次にそのB細胞に反応するT細胞の作製を行い、TIGIT発現したT細胞とそのリガンドとなるCD155発現している標的細胞の作製を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定より研究が遅れていること、そして当初の研究の予定としていなかったB細胞存在下での実験を行うため、当初の予定通り研究が進行せず、使用金額に残額が残った。T細胞と標的細胞の作製を行い、予備実験が終了したのちに、細胞の維持や刺激のための試薬、フローサイトメトリーの試薬の購入に使用する。また、新型コロナウイルス感染症のため学会発表がオンラインとなり、旅費を使用していないが、今後の学会で発表する際に使用予定である。
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